スーパー・マイクロの監査法人が辞任、ガバナンス懸念-株急落
(ブルームバーグ): 米会計事務所アーンスト・ アンド・ヤング(EY)は、経営難のサーバーメーカー、米スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の監査法人を辞任した。SMCIのガバナンスと透明性に懸念があることが理由だという。これを受け、SMCIの株価は6年ぶりの大幅安となった。
30日公表されたSMCIの届け出によると、同社の誠実さと倫理に対するコミットメントにEYは疑問を提起した。EYは辞任について、「最近われわれの知るところとなった情報により、経営陣と監査委員会の主張をもはや信頼できなくなったためだ」と説明している。
SMCIが会計規則に違反したとする元従業員の告発を受け、米司法省が調査を開始したと米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先月報道。SMCIはその1カ月前、年次財務報告書の提出を延期するとともに、特別委員会が財務報告を巡る内部統制について調査していると明らかにしていた。同社は30日、四半期ごとの「業績」に関する投資家との電話会議を来週開くと発表した。
会計アナリストのオルガ・ウスビャツキー氏は、監査法人によるこうした公の批判は「極めてまれであり、重大な警告のサインだ」と指摘した。同氏は今月の分析で、今年の監査法人の辞任を巡る注目すべきケース2件に言及。監査法人が辞任したサンパワーとティンゴ・グループは最終的に上場廃止になったという。
今年に入り元従業員のボブ・ルオン氏がSMCIは売上高を過大報告しようとしていたと連邦裁判所に申し立てて以来、同社に対する監視の目が厳しくなっている。空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチは同社を調査した結果、「明白な会計上のレッドフラッグ(危険を知らせる兆候)、未公表の関連者取引の証拠、制裁および輸出管理の不手際、顧客問題」が明らかになったとリポートで指摘していた。
SMCIはこうした問題が過去に公表された財務報告書の修正につながることはないとの見方を示し、新たな監査法人探しに着手したと説明。EYの辞任の決定には同意できないが、表明された懸念は真摯(しんし)に受け止め、特別委員会が提示した調査結果と提案された措置を慎重に検討すると表明した。