政府から3600億円の要求!?…念願の「社長」になった直後に葛西敬之が直面したヤバすぎる「債務問題」
年金債務問題の決着
結果、菅たち有志の会“JR十三人衆”を援軍につけたJR東日本の反対運動が一定の成果を得る。政府の3600億円の年金負担要求に対し、半分の1800億円で折り合い、99年2月に修正年金法案が成立した。おかげで菅はJR東日本に感謝され、住田や松田との蜜月時代が長く続いていく。 一方で、JR東海の葛西は松田や井手への対抗心からだろうか、政府・与党案に反対せず、むしろ理解を示した。修正年金法案をまとめた張本人の黒野が言う。 「あのときは野中さんはじめ、政府はこれしかないなと考えていました。葛西さんは、『経営はいいんだから、少しぐらい負担が増えてもしかたがないな』と早々に容認してくれました。東と西は経営が厳しくて反対してるわけじゃなく、筋論で反対していたわけです。『世の中には一事不再理という原則がある。すでに一度JRの負担はこれだけだと決めたのに、国の怠慢を押し付けようとしている。裁判をやったらわれわれは勝てる。逆にわれわれがこれをイエスと言ったら、株主代表訴訟でわれわれがやられる』と主張しました。一方で、葛西さんは、長期債務を処理することが先だろうという。そこで大げんかになって議論をしている最中に政権が代わり、これ以上先延ばしできないとなって、エイヤッで、JR負担を当初の政府案の半分にして修正案をまとめたんです」 実のところ、葛西やJR東海が政府に寄り添っていたように見えなくもない。葛西は東海道新幹線の競争力を高めるため、品川駅の開業に向けて走り出していた。 『JR東日本にも運輸省にもナイショで…品川に「新幹線駅」を作りたかった葛西敬之のハチャメチャすぎる「行動」』へ続く
森 功(ジャーナリスト)