『地面師たち』だけじゃない! 衝撃事件を元にした名作邦画振り返る
『地面師たち』で共演のピエール瀧&リリー・フランキーが最恐犯罪コンビを熱演!
『冷たい熱帯魚』 『愛なき森で叫べ』と同じ園子温監督による2011年公開の映画『冷たい熱帯魚』は、1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースとした物語。犬猫繁殖販売業を営んでいた男が前妻と共謀し、外国犬の取引でトラブルになった顧客ら4人を猛毒「硝酸ストリキニーネ」で毒殺。さらに、ペット販売会社役員の男の自宅で解体・焼却した上で遺棄した事件だ。 そんな事件をベースにした『冷たい熱帯魚』は、事件に巻き込まれた形の熱帯魚店店主・社本を吹越満が演じ、彼を事件に巻き込む別の熱帯魚店・店主をでんでん、その妻を黒沢あすかが演じた。特にでんでんは、優しげな「おじさん」の風ぼうをしたバイプレーヤーとして当時すでに認知されていたが、本作で演じた最凶最悪の殺人鬼役によって新たな魅力を発掘されたと言って過言ではない。なお本作と『愛なき森で叫べ』、さらに1997年に起きた東電OL殺人事件がベースにした園監督の『恋の罪』を合わせて、「家賃3部作」と称されている。 『凶悪』 『日本で一番悪い奴ら』と同じ白石和彌監督による2013年公開の映画『凶悪』は、1999年に起きた「上申書殺人事件」をモデルにした作品。ある別の事件で死刑判決を受けた元暴力団組長の男が、提出した上申書で告発したことをきっかけに発覚した事件で、男が“先生”と慕う不動産ブローカーと共謀し、金銭トラブルなどの相手を次々に手をかけていった残忍な事件だ。本作の原作となったのは、獄中の男に取材を続け、事件の真相を告発した新潮45編集部によるノンフィクションベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』だ。 『凶悪』には、『地面師たち』にも出演していたピエール瀧とリリー・フランキーが共演。『地面師たち』ではほとんど絡みがない2人だが、『凶悪』では回想シーンで残忍な犯罪コンビを怪演している。そんな2人の事件の真相を追うスクープ雑誌「明潮24」の記者を、山田孝之が演じている。