究極のビッグ3完全解説 スクワットは初動が大切 伝説のパワーリフターが解説
股関節から動くか?膝から動くか?
少しスタンスの話にそれましたが、この足裏がグラグラしないように安定してしゃがむためには、とにかく正しい初動が大事なのです。 「初動」、いわゆる動きの初めのことを言いますが、人によって股関節から初動する人もいれば、膝から初動する人もいます。 他の人のスクワットをよく観察してみると、瞬間的にどちらかの関節のロックが外れて動き始めているはずです。 しかし、もともとどちらのロックも最初から外れていて筋肉だけで重さを受け止めている人もいます。 そのような人のスクワットは、どちらの関節からロックが外れているのかがよくわからない状況になっています。 本来ならば、早めに修正すべきです。 動く前に、骨格で重さを正しく受け止めるフォームに修正すると、今後のさらなる伸びが期待できます。 また、本当に自分が粘ったときや、本当に追い込まれたときに自然と現れる動作がこのどちらかに分類されると思います。 もちろん、それは極端に「股関節から」とか「膝から」とかという感じになるわけではなく、ほんの少しの差で初動の違いが出てきます。 例えば、股関節から初動する人は、股関節が積極的可動部位になるため、膝が安定部位になってきます。 このように、必ずどちらかの関節が安定部位で、どちらかの関節が積極的可動部位になります。 どちらも安定してしまっては動きにくくなりますし、どちらも積極的可動部位だとグラグラしてしまい動きにキレがなくなります。 ですから、いわゆる一般的な教科書的なフォームとしてよく言われることで「膝をなるべく安定させて」とか、場合によっては「固定させて股関節から動かす」などの表現は全ての人には当てはまらないのです。 ちなみに私は「固定」という言葉はあまり好きではありません。 「安定」という言葉のほうが適切かと思っております。
結局、どちらの初動が正しいのか
股関節から初動する人は膝の安定がある中で、股関節が積極的可動部位になるので、股関節から動くように見えます。 膝から初動する人は股関節の安定がある中で、膝が積極的可動部位になるので膝から動くように見えるのです。 どちらにせよ安定部位と可動部位がちゃんとバランスよくあるということが大切なのです。 したがって、どちらが良いとか悪いとかは全くなく、どちらも正解なのです。 ただし、自分に合っていないほうで動くと妙にグラグラしてしまうことなります。 また、逆に本来股関節から動かす人でも構えた状態が不十分で、横から見たときの身体の状態が「く」の字のように曲がっていると、すでにその段階で股関節や腰が後ろに出てしまっています。 その後の動きは見た目「膝から曲がっている」ように見えますが、実際はすでに股関節が先に出てしまっているので、残りの動かせる関節は膝からいくしかないという状態になっている場合があります。 ですので、重たい重量で正しくスクワットをするためにも、筋肉だけではなくて、しっかりと骨格で担いだところからどういう初動が出てくるかというところが非常に大事になってきます。 ここまで解説したことを追求していくと、おのずと自分にとってのよいスクワットの動きというのが出てくると思います。 冒頭にも少し触れたように、一つの目安として足裏がちゃんと踏めている感覚、安定している感覚があることが大切です。 そこが上手くいっていれば自分にとっての初動がうまく出ていると思ってよいです。 逆に考えれば、初動がうまく出せれば足裏も安定しているということにつながってきます。 この「どちらから動かすか」というところは、もちろん人によって変わってきますのでどちらが正解というのは全くありません。 自分がやりやすいほうでやっていただければよいです。 ただし、本来は膝から初動したほうが自分にとっての正解の人が、「教科書的なフォームは股関節から動かす」からといってその初動にこだわってしまうと、なかなか自分の中のイメージと実際の動きが噛み合わないという不具合が生じてしまいます。 そこは気を付ける点だと言えます。