究極のビッグ3完全解説 スクワットは初動が大切 伝説のパワーリフターが解説
ウエイトトレーニング専門雑誌『IRONMAN』の人気連載『三土手大介 究極のBIG3徹底解説』から特別にお届けします。今回はスクワットの動作のポイントを解説していきます。よく言われる「つま先よりも膝を前に出さないように」は本当に正しいのでしょうか。では、見ていきましょう。自分にとっての「正解」を見つけ出すためのヒントになるはずです。
教科書の解説は本当か
一般的なウエイトトレーニングの教科書に載っているスクワットフォームの解説には、次のように書かれていることが多いです。 「スクワットはなるべく膝を安定させた中で、つま先よりも膝を前に出さないように意識して、股関節(腰やお尻という表現の場合もある)を後ろに引いていきましょう」。 また、膝に関してはつま先よりも前に出さないだけではなく、内側に入ってこないように注意する、つまり「ニーイン」しないようにすることも書かれています(ただ、ニーインに関しては、基本的に極端でない限り多くの人は気にしなくてもよいです)。 このように解説されていると、基本的なスクワットのフォームはこの意識で行えばいいのだろうと多くの人は思うかもしれませんが、実は違います。 例えば、パワーリフティングのトップリフターでも、よく見てみると股関節から動かしている人もいれば、膝から動かしている人もいます。 これを見ると、どちらが正解なのかと、悩んでしまう人も多いと思います。 というのも、「膝をなるべく安定させた中で股関節から引きましょう」という解説を厳密に守り、実行してしまっている人が多いからです。 そうした現状がある中で、動作のポイントとして「どちらの関節から動かすか?」ということは後述しますのでここでは置いておいて、まずは「何を意識してしゃがむか?」というところから解説していきたいと思います。
「踏み圧」とは一体何か
しゃがみはじめのポイントは足裏の「踏み圧」です。 動作の最中にしっかりと地面を捉えている感覚が重要なのです。 地面を捉えている感覚がある中で、グラグラせずにどうやったら安定してしゃがめるか?ということを自分の中で観察してみてください。 足裏が安定した状態でしゃがめるときの股関節や膝の動きが、自分にとっての正解だと思ってよいです。 ところで、この「踏み圧」という言葉。 昨今、非常に認知されてきていますが、その昔はそんなに「踏み圧」という言葉は聞かれなかったと思います。 この踏み圧とは一体何なのかというと、「地面を踏み続けて圧力を一定に保つ感覚」とか、「ぴたっと、ずっと地面に安定して着いている感覚」とか、そのような感覚のことを言います。 脳科学の世界でも「踏み圧」というものが定義されていて、正確な言葉としては「圧覚(あっかく)」と言います。 しかし、スクワットでは「踏み圧」という言葉が分かりやすいと思います。 もっと分かりやすい日常的な言葉で言うと、「地に足が着いている状態」などが一番近いと思います。 いずれにせよ、足裏がグラグラせずにどうやったら自分がバランスよくしかもスムーズに深くしゃがめるか、ということが大切になってきます。 このあたりのことは自分に最適なスタンスを探す際にも役立ちます。 何も担いでいない状態で足裏が地面をしっかりと捉えてグラグラせずに、いかに楽に深くしゃがめるか。 そのスタンスが、今の自分にとって一番理想的なスタンスになります。 スクワットは当然、重たいものを持ってしゃがむという動作なので、グラついてはダメですし、何も担いでいない状態で深くしゃがめないスタンスなのに、そこに重さが加わればちょっとした関節技になってしまいます。 そのようなスタンスでは決して良いスクワットはできません。