男女の賃金格差 非正規女性が多い飲食業、正規で賃金低めの金融業など異なる対策【国際女性デー】
日本では男女の賃金格差が根強くあります。専門家の分析では、産業によって格差が生じる背景や対策が違うことがわかってきました。
■労働分野での男女の格差(ジェンダー・ギャップ)とは?
日本総合研究所調査部の上席主任研究員藤波匠氏によると、日本の場合、女性は男性に比べて、なかなか正規の職員になれなかったり、正規職員になっても賃金が男性社員よりも少なかったり、出世しなかったりということで、賃金が低く抑えられている傾向が根強いと指摘します。 こうした男女間の格差をジェンダー・ギャップといい、昇進(どれだけの人が役職ある立場になれるか)や賃金、正規雇用の割合など、どれをみても、男性が優位で、女性が低いといいます。つまり、女性は昇進する割合が男性より少ない、平均賃金が男性より低い、正社員の割合が男性よりも低い(女性は非正規雇用である割合が高い)ということです。 このような項目のうち、特にジェンダー・ギャップが大きかったのは、役職者(注:主任やチームリーダーなど含む役職のある人のこと。そのうち権限を持つ場合、管理職という)の比率でした。女性で役職者になる割合は、男性で役職者になる割合と比べると6割少ないということです。そして、役職者の所得も男女で差があります。 ジェンダー・ギャップは業種によって違いが見られたということです。一番、業種によるばらつきがあるのは、正規雇用の割合です。女性の非正規雇用者に依存している産業がある一方で、ほとんど非正規雇用の女性がいないような産業もあるということです。
■企業の大小は関係ない。女性の採用の仕方による
藤波氏の研究では、企業規模による違いはあまりなかったということです。「中小企業だから」といったことは言えないということです。ジェンダー・ギャップが大きいかどうかは、女性をどういう形態で採用しているのかと関係していたということです。女性の非正規職員に依存しているような産業もあれば、ほとんど女性の非正規職員はいないが、同じ正規職員でも男女によって賃金や出世のスピードが違うために格差が生じている産業もあります。 藤波さんは、産業による特徴をもとにジェンダー・ギャップをなくすために行うべき対策がわかってきたといいます。