EV需要が鈍化、ピックアップトラック『ラム』の電動化計画を変更、PHEVモデル先行発売へ
ステランティスは、傘下の「ラム」ブランドの電動化計画を変更すると発表した。当初2025年前半に予定していた初のフル電動ピックアップトラック『ラム1500 REV』の発売を延期し、代わりに航続距離延長型PHEVの『ラム1500ラムチャージャー』を先行して市場投入する。 プラグインハイブリッドのラム1500ラムチャージャー この決定は、消費者からの圧倒的な関心や技術面での競争優位性の維持、さらには0.5トンクラスの電動ピックアップトラック市場の需要鈍化を考慮したものだ。新計画では、ラムチャージャーの受注を2025年前半に開始し、ラム1500REVの発売は2026年に延期される。 新型ラムチャージャーは、クラス最長となる690マイル(約1110km)の航続距離を目標に開発されている。92kWhのバッテリーパックと130kWの車載発電機を組み合わせ、前後の電動ドライブモジュールに電力を供給する。また、車両間充電や車両から家庭への給電機能も備えており、他のステランティス製電気自動車への充電や電力網への送電も可能だ。 性能面では、0-96km/h加速が4.4秒、最大出力663hp、最大トルク615ポンド・フィート以上を誇る。さらに、クラス5ヒッチを使用した場合の最大牽引能力は1万4000ポンド(約6350kg)、最大積載量は2625ポンド(約1190kg)と、いずれもクラス最高を目指している。 ラム1500の生産拠点の米国ミシガン州スターリングハイツ工場は、内燃エンジン車と電動車両の両方を生産し、この画期的な技術の市場投入において重要な役割を果たす。 ラムブランドのこの戦略変更は、急速に変化する自動車市場において、消費者ニーズに柔軟に対応する姿勢を示している。航続距離延長型モデルの先行発売により、電動化への移行をより円滑に進めつつ、従来のピックアップトラック顧客の期待にも応える狙いがある。
レスポンス 森脇稔