「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」(岡本太郎記念館)レポート。太陽の塔、宇宙猫、岡本太郎、ヤノベケンジというキーワードが重なる場所
岡本太郎の影響を受けたアーティスト
南青山の岡本太郎記念館で「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」が7月12日から11月10日まで開かれる。現在、GINZA SIXの吹き抜けで展示中の新作《BIG CAT BANG》が大きな反響を呼んでいるヤノベ。今回の「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」展は、岡本太郎《太陽の塔》をオマージュした作品をなぜ2024年に展示し、モチーフとしたのか、そのバックストーリーを知ることのできる展覧会になっている。 会場となる岡本太郎記念館は、太郎のスタジオ兼自宅でもあった場所。「僕自身、岡本太郎の影響を受けてクリエイターになった。そのことをみなさんに知ってもらう場としてこの会場はふさわしい」とヤノベは話す。 GINZA SIXの《BIG CAT BANG》と“ふたつでひとつである”という本展。地球に隕石が落ちたことで生命が生まれたという説をベースに、隕石に乗って地球にやってきた「宇宙猫」(ヤノベ作品の代表キャラクター)が生命の樹を育て、地球を襲った5度の大量絶滅を乗り越え現在に到達したというストーリーが直筆スケッチやドローイングなどによって記される。 GINZA SIXで大量に舞っていた宇宙猫は、今回も胞子のように散りばめられ会場のあちこちに出現。常設展示される太郎人形の肩にもちょこんと乗っており、その縦横無尽ぶりが微笑ましい。中庭にも巨大な「宇宙猫」が出現。目は青く光っており夜にはいっそうの存在感を放ちそうだ。 ヤノベは、自身と太郎の関わりについて次のように語る。 「私は大阪の万博記念公園の近くに生まれ、万博終了後にパビリオンが壊されている様子を間近に見ながら遊んでいました。ですので、がれきの中にある《太陽の塔》というシチュエーションが私と岡本太郎のファーストコンタクト。《太陽の塔》を見ながら育った自分にとって、岡本太郎はクリエイターとしての巨人。私のイマジネーションのリミッターは太郎によって外されたんです」。 本展からは、宇宙猫の「爆発」ストーリーとともに、「芸術は爆発だ」の決め台詞で知られる太郎の爆発熱を受けたヤノベの知られざる一面も見えてくる。
Chiaki Noji