ネコの前で“デレデレに豹変する人々”をのぞき見ていた飼い主。「最も気まずかった瞬間」は<漫画>
ネコが大好きで、YouTubeでひたすらネコ動画を観ていた漫画家の青山ゆずこさん。ある日へその緒がついたままの赤ちゃんネコを保護した日から、生活が一変しました。幼ネコと暮らす愛おしい日々のエピソードを紹介します(以下、青山ゆずこさんの寄稿)。 【マンガ】子猫のニコにたぶらかされる人々
出窓はネコのステージ?
へその緒がついたままの生まれたてのネコを保護してから、ネコ育てに怒涛のような忙しい日々を過ごしていました。これはそんな幼ネコとの生活に、少し慣れてきたころのお話です。
来客の姿がばっちり見える出窓
当時の我が家は築40年以上の一軒家で、私の部屋が家の門から玄関までの小道に隣接していました。だから、窓を開けていると、家にくるお客さんがばっちり見えるのです。 その出窓を「あたちのくつろぎスペース」と愛していたのが、幼ネコのニコ(25日に拾ったことから命名)でした。
「ネコの気を引こう!」と豹変する人たち
基本的に家にひきこもって作業をすることが多い私。ときどき来る来客は、荷物を抱えた佐川やヤマトか郵便局の人たちばかり。そのお兄さんたち(ときどきお姉さんも)が、ニコがくると出窓の前を通るときに、「ネコの気を引こう!」と豹変するのです。 ちょっと強面のお兄さんが、網戸を指でなぞりながら「……にゃん」とか言っちゃう。口がへの字になっているおじさまも、ポケットからキーケースを取り出して、「ほら~♪」とか言いながら祈祷師のように楽しそうにぶんぶん振り回しちゃう。 そんな最高のステージが、連日繰り広げられています。 しかし、そうなるとちょっと困ることも。
公演が終わるまでひっそりと壁の裏に
飼い主の出ていくタイミングが、わからない。 うっかりステージの途中で姿を見せてしまうと、 客人「あ……」 ゆずこ「ど、どうも」 客人「なんかすみません」 と、ステージが中断しちゃう。「思う存分続けてください!」「むしろめっちゃ見たいんで」と言うのもなんか恥ずかしいので、公演が終わるまでひっそりと壁の裏に隠れているのです。健気な女。
「もうしません。ごめんなさい」
そんな飼い主の努力も知らず、ニコは基本的にクールな反応しかしません。 そこらへんの棒をタクトにして、壮大な“指揮”をしていた配達のおじさま。クールなネコのニコの反応にがっかりしていたので、思わずちょっと拍手してみたんですよ。壁の裏から、ちょっとだけ顔を出して。 そうしたらまた気まずくなったので、多分もうしません。 小声で「ブラボー……」とか、もう言いません。ごめんなさい。 <漫画・写真&文/青山ゆずこ> 【青山ゆずこ】 漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird
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