心からピアノが好きと思えるように…元HKT48の森保まどかさん 「自分のブランドとして大切にしたい」
「大事にしたい」「自由にやっていいんだ」
約10年間在籍したHKT48を卒業して、絶え間なく入る仕事や課題が常にあった環境は一変します。 「今の自分に必要なことを手繰り寄せていく感覚で、お仕事に向き合うようになりました」 趣味である音楽フェスやゲームを楽しむ自分の時間も大切にし、それを仕事にも生かせたらいいと思いつつ、俳優・タレントとして芸能活動を続けているそうです。 ピアノへの向き合い方も変わってきました。 「ピアノは趣味ではなく特技という感覚です。今までは意固地な部分もあり、ピアノが趣味ですごく好きっていう感じじゃないのに、という本心から、自らピアノの動画とか練習風景をSNSにあまりアップしていなかったんです」 「ですが、自分にとって切っても切り離せない、すごく大事なものだと再確認してからは、練習風景の動画を上げて、改めて、『ピアノの子』だと認識してもらう機会を作ったりするようになりました。誰にでもできるお仕事じゃない、自分のブランドとして大事にしたいです」 楽しさを認識したきっかけは、プロミュージシャンのバンドに、キーボードや電子ピアノの奏者として参加したことでした。 「OCEANS ex.KureiYuki's」。アーティストでプロデューサーのクレイ勇輝さんが結成した、総勢30人以上のクリエイター集団です。 バンドへの参加メンバーは時々で変わりながら、ソロやバンドで活躍しているミュージシャン、歌手が参加して2022年と23年に全国でツアーを行いました。 森保さんも22年夏のツアーと23年8月の福岡でのライブに参加しました。ゲストのボーカルも川崎鷹也さん、手越祐也さんら人気の歌手がステージごとに続々と登場しました。 「著名なゲストボーカルの方々の歌を支えることを経験したことで、自分に出来る音楽が変わりました。今までは『アイドルにしては上手だね』という見方をされていたのが、一人のキーボーディストとして見られ、意識も変わりました」 「少し自信がない部分もあったのですが、『まどかちゃんのピアノ本当にいいよ。クラシックでやってきた基礎があるし、ロックなメロディにピアノっぽい音色が加わることで、とても生きている』」とバンドの方が言って下さって。自分のバックボーンを生かしながら自由にやっていいんだと気づけました」 森保さんは、自分の意識にも変化を感じています。 「クラシックピアノの森保まどかみたいな像があったと思いますが、自分が好きな、バンドの中でドレスじゃなくてTシャツを着て演奏する機会に恵まれたことで、自分の中で弾けるものがありました」 弾けるとは? 「自由度が違う。ミスタッチが怒られないし、『コードの中で自由にやればいいよ』って。そういう環境がすごくやりやすかったです。そして、そういう姿をHKT48の後輩たちが応援してくれるのが嬉しくて。葛藤があったなかでも、自分の中でやりたいと思うことができたかもしれない、と気付きました」 そしてもう一つ、森保さんにとって、やりたいことつながる仕事を通じた出会いがありました。 YouTubeとケーブルTVで配信されているヤマハ音楽教室の番組「音楽ヒーロー・ヒロイン~『奏デンジャー』」のMCに就任。 若い音楽家を紹介したり、各地の音楽教室に通う子どもたちといっしょにピアノを演奏したり。 「小さい子たちが笑顔で楽しみながらピアノとか音楽に触れる現場を、ロケで何度か経験させてもらって、そこで、改めて認識したんです。自分はこういうことをやりたいんだ、と」 芸能界で音楽や演技の活動を続けつつ、30歳ぐらいになったら自分の経験を生かして子どもたちにピアノも教えていきたい。ぼんやりしていた将来が、像を結び始めています。