心からピアノが好きと思えるように…元HKT48の森保まどかさん 「自分のブランドとして大切にしたい」
ピアノの演奏、実力以上にPRされ…複雑な思い
幼稚園の頃からピアノを習い始めたものの、「ピアノを人前で演奏することに楽しさを感じる」と思えるようになったのはそれほど前のことではありません。 小、中学校時代はコンクール出場に向けて、隣の市までレッスンに週数回通い、自宅でも夜遅くまで練習を重ねました。全国大会や国際コンクール(国内開催)での受賞歴もあります。 本人が知らないうちに父親がオーディションに応募したことで、2011年、中学2年でHKT48に加入し、環境は一変しますが、それまではピアノ漬けの毎日でした。 「放課後に友達と遊ぶといったことが全くなかったので、経験したかったなと、振り返って少し思う部分はあります。でもすべてピアノのために時間を使ったことによって、今とても自分が救われているので、その頃の自分に『ありがとう』って言ってあげたい」 HKT48加入後もコンサートのステージで演奏を披露したり、テレビ番組で、ピアノが特技の芸能人が優勝を目指して競うコーナーに何度も出演したりします。 そして、そのコーナーで優勝した「ごほうび」として、アルバムの制作が決定。2020年、松任谷正隆さんプロデュースでソロピアノアルバムは発売されます。 当時、AKB48グループ全体だと国内だけで300人以上のメンバーがしのぎを削っていた状況で、はた目には恵まれた環境に映りました。 ただ、本人は複雑だったといいます。 音楽大学を卒業したわけでも、プロのピアニストを志していたわけでもないのに、実力以上にPRされることへの引け目。アイドル活動が忙しく練習時間が十分とれないなか、期待を背負って演奏を披露することへの重圧……。 2021年4月、卒業を控えた森保さんに取材した際、彼女はこう話しています。 「いつの間にか暗譜ができなくなって怖くなった。そして、日常的にピアノを弾いている人たちとも比べられる。仕方ないのですが、その現実がすごく苦しかったです」