ナショジオの写真家が教えるクローズアップ写真を撮るコツ、「尺度」は魔法の調味料
特集「動物を狩る闇夜のコウモリ」「心を操る寄生体」などを手がけたアナンド・ヴァルマ氏
私(写真家でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるアナンド・ヴァルマ氏)が小さなものを写真に撮ることが好きなわけは、子どものころ、裏庭を探検していたためだと思う。米ジョージア州アトランタにある実家の裏庭で、丸太の上を走ったり、小川の石を拾ったりして、私は探索と発見に夢中だった。 ゾウやサメのようなものはクールだと思ったが、小さなもの、つまり虫やサンショウウオはもっと身近で、自分で見つけることができた。 作品例5点:ナショジオの写真家が教えるクローズアップを撮るコツ 高校生のとき、父のカメラを借りた。マクロレンズが付いたカメラだ。ガーターヘビの写真を撮ると、うろこを細部まで見ることができた。写真そのものよりも、それを見た友人の反応をよく覚えている。友人は興奮していた。私はこのとき初めて、写真と発見の興奮を共有するとはどういうことなのかを知った。 マクロ撮影は、目に見える範囲を超えて細部を拡大できるため、常に驚くべき結果をもたらす。 ここでは、素晴らしいマクロ写真を撮るコツを伝授しよう。
視点と尺度を考慮する
見る人を驚かせることを常に考えるべきだ。私たちは自分の立ち位置からすべてを見ることに慣れている。私の場合、マクロ撮影ではそのパターンを壊し、被写体の目の高さまで下りてみるのが好きだ。 同じ大きさの生き物になったつもりで撮影したり、被写体を見上げたりしてもいい。被写体に顔がある場合、目の高さで撮影すると異なる視点が生まれる。 マクロ写真にとって、尺度は魔法の調味料だ。尺度を見せることも隠すことも、見る人の注意を引く強力な手段になる。 自分の爪や硬貨などを被写体の横に置くと、見る人にも被写体の大きさがすぐにわかる。反対に、わざと尺度をあいまいにすれば、生き物の大きさがわかりにくくなる。それも楽しいかもしれない。
夜間に光源を使って撮影する
被写体に焦点を合わせるため、私はいつも光源を使って撮影している。ヘッドランプや懐中電灯、スマートフォンのライトなど、いつも光源を持ち歩いている。 昆虫やカエルの多くは夜行性のため、多くの場合、夜の方がクールな被写体を見つけやすい。また、昼間より焦点が絞られ、周囲に気をとられずにすむという点でも被写体を見つけやすい。