大阪でも行列の北九州「資さんうどん」 ユニクロ出身社長・佐藤崇史さんが考える「次なる最高の一杯」 一聞百見
創業当時、港の労働者やトラックドライバーのお客さんも多く、昼夜問わず働く人のためにコンビニが生まれる前から「24時間営業」をかかげて彼らの胃袋を満たしていた。
「疲れて帰ってきた人を温かくお迎えするのがモットーでした。多くの人が毎日通うので、うどんだけではあきられる。要望にお応えするうちにメニューが増えていきました」
現在のメニューは100種類以上。麺類、丼もの、カレー、おでん、おにぎりなどの定番に加え季節限定メニューもある。なかでもひときわ異彩を放つのがぼた餅だ。
「地元の屋台では酒の代わりに、ぼた餅を出していたようです。トラブルが起こったりするのを防ぐためだったとも伝えられています。激しい労働の疲れを癒やすのに甘いものが好まれたとも思われます」
今や資さんを語るには欠かせない。北海道産の小豆を使用した自家製で、全店で年間540万個食べられている。
「資さんのメニューは一つ一つがホンモノです。一切妥協なし。就任早々、カレーのレシピには驚かされました。カレーの専門店でも通用するレベルでした」
人気メニューに「しあわせセット」がある。基本は、肉ごぼ天うどん(かしわごぼ天うどんも選択可)、カツとじ丼(たれカツ丼、天丼、カツカレーも選択可)、ぼた餅のそれぞれミニサイズを組み合わせたもので、定番が一度に味わえる。
佐藤さんは社長就任の約5年前、勤めていたファーストリテイリングの店舗視察で北九州市を訪れ、人に勧められて資さんうどんを食べている。
「実においしかった。こんなうどんは初めてと衝撃をうけました。東京でも絶対にうけると思いました」
だがその時、自分がその店の経営者になるとは夢にも思わなかったという。
■日本の資さん、世界の資さんへ
平成24年、創業40周年を前に創業者の大西さんが病気療養を理由に社長を退任した。いい意味のワンマン経営で従業員の道標でもあっただけに、先行きに不安を感じる者は少なくなく、常連客の間でも「資さんがなくなるかも」と心配する声が上がったという。