大阪でも行列の北九州「資さんうどん」 ユニクロ出身社長・佐藤崇史さんが考える「次なる最高の一杯」 一聞百見
「麺は口当たりがやわらかで中はもっちり。だしはサバ節、昆布、シイタケでとる濃いめの味付けで甘さが残る。ガツンとくる、食べるとクセになります」
福岡県で観光客には豚骨ラーメンがおなじみだ。しかし地元の人たちはうどんをよく食べる。そのうどんは北九州と博多、地域で異なるという。博多は、あごだしであっさりしたものが多く、麺は北九州よりもやわらかい感じがする。
ラーメンはみそ、しょうゆ、塩、豚骨と味が多様で全国にご当地ラーメンがある。一方、うどんはほぼ讃岐に代表される。資さんが頭角を現すことで選択肢が広がり、新たなうどん文化が生まれるかもしれない。
「今回はホップ、ステップ、ジャンプのホップ。大阪で評価していただいたことは自信になりました」
■メニュー100種類超「妥協なし」
最近、旅行ガイド本の人気シリーズ『地球の歩き方 北九州市』という本が出た。「資さんうどん」創業の地、同市戸畑区出身の卓球選手、早田ひなさんが「わが町自慢」として資さんを挙げ「試合前は必ず食べていた」「今でも家に帰ると必ず食べに行く」と紹介している。
JR小倉駅前からバスに乗り約30分、一枝入口で降りるとバス停前に資さんうどん一枝店(戸畑区土取町)がある。
創業者、大西章資(しょうじ)さんは昭和46年に知人からうどん店を譲り受けた。改良を重ねて納得の味が完成。51年、自分の名前から一文字とって屋号とし「資さん1号店」をこの場所で開業した。ロゴマークのデザインは大西さんの右腕として味づくりを支えた従業員に敬意を表し、彼の名字「井藤」から「井」が使われている。
「だしの開発に2年。何種類もの材料を組み合わせ試行錯誤したそうです。讃岐うどんの修業にでかけ、各地を食べ歩きし、研究を重ねたと聞いています」
かつて北九州市はものづくりのまちとして日本の高度経済成長を支えていた。明治期に設立された官営八幡製鉄所をルーツとする新日本製鉄(現日本製鉄)が戸畑区に進出。港で製品や材料の積み降ろしが行われていたという。