田中圭が元気をくれる理由「“ポジティブ人造人間”になろうと決めたんです」
エンタメに込めた、優しさと願い
いつまでも若々しさを失わない田中圭も、今年で40歳を迎えた。俳優として確かな地位を築いた今も、精力的な活動ペースは変わらない。根源にあるのは、10代の頃と変わらない芝居への探究心だ。 「単純にお芝居が好きです。僕自身は俳優として何か名誉を得ようなんて欲はない。むしろ何かを手に入れたとしても、わりとすぐ捨てられるタイプだと思います。なので、そこにモチベーションはありません。ただただお芝居が好きだからやっているというのがリアルな気持ちです」 同じことをずっと続けていると、自然とモチベーションはすり切れる。でも、田中圭はそうならない。それもやっぱり“ポジティブ人造人間”の特訓の成果のような気がした。 「やりたいことはいっぱいあります。たとえば、一緒に働くみんなの環境をもっと良くしたいとか。同じ働くなら、楽しい方がいい。特にスタッフさんは僕らよりも早く現場に入ってスタンバイして、僕らが撤収したあともずっと働いている。休みもないし、絶対大変なはずなんです。だから、せめてまずは自分にできることとして、特に自分が一番手の現場ではなるべくスタッフさんに声をかけて巻き込んで、みんなで仲良くなって作品をつくろうという働きかけはしているつもりです」 そこから少し声のトーンを変えて、いつもより真剣な口調で彼は続けた。 「極論を言うと、エンタメを通してこの世界が変わったらいいのになという思いは少なからずあります。せっかくこういうお仕事をしているので、自分たちのつくったものを通して一人でも多くの人にハッピーが伝わればいいなと思いますし、ネガティブとかマイナスな感情を持つ人が一人でも減ってくれたらいいなと思います。別にそれを目的でやっているわけではないけれど、そんな願いが頑張る力の一つになっています」 ここで時間終了。田中圭は、「ありがとうございます!」と入ってきたときと変わらない明るさで挨拶をして去っていった。時間にすれば、ほんの十数分。だけど、その場にいる誰もがちょっとパワーをもらった気がした。 やっぱり田中圭は周りを元気にする魔法が使えるみたいだ。 取材・文:横川良明 撮影:映美 <作品情報> 『あの人が消えた』 9月20日(金) より全国公開 (C)2024「あの人が消えた」製作委員会