【実例付きで解説】「旅行は無駄遣い」「ケーキは贅沢」赤の他人に財産を握られ暴言の嵐…後見制度が招く“とんでもない事態”
勘違いしている後見人の“迷言”
勘違いしている後見人の迷言として、「本人が好きだからといって温泉に行くのは無駄遣い」「被後見人にケーキなんて食べさせないで」「後見制度を使った以上素敵な洋服なんてぜいたく」「結婚祝いや香典を立て替えたというなら領収書をもらってきてください、そうしたらその分の費用を払います」「被後見人となったご主人のお金で美容院に行くのはもったいないから控えていただきたい」などがありますが、いずれも制度が想定しない暴言です。 その後見人独自の見解に過ぎませんので、支払いを求め、払わないと言うなら、裁判所に苦情を出すか、後見人を被告に裁判を起こすといいでしょう。それにより後見人を辞めたり、態度が変わったりすることが少なくないからです。
親の認知症が重症化する前に対策を
本人の残高を家族に教えない後見人もいます。他方、家族に教える後見人もいます。教えることで、家族の協力が得られ、被後見人、後見人、家族、取引先(たとえば施設)のやり取りがスムーズになることがあるからです。家族に残高を教えなければいけないという義務的な法律はありませんが、教えてはいけないという禁止的な法律もないのです。 そのような中、「被後見人が死んだら、自分がもらっている報酬額がわかるからそれまで待てばいい」というのは失礼千万な発言です。弁護士法や司法書士法に定められている「品位を欠く行為」に該当すると考えられるので、弁護士なら所属弁護士会に、司法書士なら管轄である法務大臣あてに懲戒請求をすることで状況改善が見込まれます。 誰だって、要らぬトラブルやストレスを抱えたくないでしょうから、法定後見制度を使わないことはもちろん、親の認知症が重症化する前に、銀行からお金を下ろし、預貯金以外の方法で管理するなど対策をしておくのが賢明です。 宮内 康二 一般社団法人 後見の杜 代表
宮内 康二
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