【米国株ウォッチ】第二次トランプ政権誕生でゴールドマン・サックスによせられる期待
ゴールドマン・サックス(ティッカーシンボル:GS)の株価は今年、年初来で57%上昇と好調だ。これに対し、同業のモルガン・スタンレーの株価は同期間に41%の上昇に留まる。 最近の株価上昇の背景には、ドナルド・トランプが2期目の大統領に選出された米国の大統領選挙がある。投資家たちは、トランプ政権が規制緩和に重点を置くことで、バイデン政権と比較して銀行監督へのアプローチが甘くなる可能性に賭けている。これは、取引量の増加、融資活動の活発化、そして収益性を高める可能性のあるコンプライアンス・コストの低下を通じて、銀行の収益拡大に貢献する可能性がある。トランプは減税にも賛成しており、これもゴールドマンとその顧客の収益に貢献する可能性がある。一般的に自由市場を支持する共和党が上院の主導権を獲得したことも、金融セクター全体にとってプラスに働くであろう。 ■直近の決算動向 ゴールドマン・サックスの第3四半期決算は堅調だった。1株あたりの純利益は市場予想を大幅に上回る8.40ドルとなり、前年同期の5.47ドルという数字も上回った。純収入は前年同期比7%増の127億ドル(約1兆9700億円)だった。成長を牽引したのは「グローバル・バンキング&マーケッツ」セグメント(投資銀行業務とセールス&トレーディングを含む)で、収益は前年同期比7%増の85億5000万ドル(約1兆3237億円)となった。同セグメントでは債券引受業務などが増加し、投資銀行業務全般が活発化した。また、セカンダリー・オファリングの件数増加などに牽引され、エクイティの引受業務も回復した。エクイティ関連ビジネスによる収益は、仲介業務で得られる純収益が増加したことなどにより、前年同期比18%増の35億ドル(約5421億円)となった。 「アセット&ウェルスマネジメント」セグメントは、ゴールドマン・サックスが伝統的に得意としてきた分野だ。同セグメントでは、前年同期の純損益から一転して株式投資の収益が拡大したことや、手数料ベースの収益が増加したことなどに牽引され、収益は前年同期比16%増の37億5000万ドル(約5810億円)と好調だった。 ■株式リターンと目標株価 過去3年間におけるゴールドマン・サックス株の上昇は一貫しているとは言い難く、S&P500種株価指数と同様に大きく変動している。ゴールドマン・サックスの年間リターンは、2021年に48%、2022年にマイナス8%、2023年に16%であった。