ワシントンDC・東京間1分、史上最速「時速69万キロ」の探査機NASAから
NASAのパーカー・ソーラー・プローブが再び記録を更新し、人類史上最速の物体としての地位をさらに強固にした。 この探査機は驚異的な時速63万5266キロ(39万4736マイル)で走行することが記録された。この速度は音速の約500倍に相当し、これまでの速度記録と並ぶ、人類が作り出した史上最速の物体と確認された。 そして、これは旅のピークではない。探査機のミッションが続く中、2025年に太陽に最も接近する際には、時速約69万2000キロ(時速43万マイル)に達すると予想されている。この速度は、ワシントンDCから東京まで1分以内に移動できるほどの驚異的な速さだ。 この驚異的な速度を達成するためには、正確なタイミングと運動量が必要だ。パーカー・ソーラー・プローブは、金星の引力を利用して太陽に接近するフライバイを繰り返し、この重力アシスト技術により探査機は記録的なスピードに到達するために必要な勢いを得ている。 パーカー・ソーラー・プローブの主な目的は、太陽の外側コロナ(太陽を取り囲む超高温プラズマ層)を研究することだ。2021年4月、探査機は初めて太陽に「接触」し、プラズマのサンプルを採取し、磁場の変化を測定することで歴史を塗り替えた。このデータは科学者にとって非常に貴重で、地球からは得られない知見を提供してくれる。 最近、探査機は太陽への20回目の接近を完了し、恒星の表面まで726万kmまで接近した。今後の接近ではさらに近づき、612万キロメートルまで接近する予定だ。太陽付近の極限状態に耐えるため、パーカー・ソーラー・プローブは11.4センチ(4.5インチ)の炭素複合シールドを装備しており、摂氏1371度(華氏2500度)近い温度に耐えることができるようになっている。 パーカー・ソーラー・プローブが達成した人類最速の物体は、すぐに追い越されることはないだろう。最終的に記録が破られるとしても、それはスピードの限界に挑戦する別の宇宙船である可能性が高い。 歴史的に最速の物体は、地下の爆発に続いて推定時速24万キロ(時速15万マイル)で宇宙に向かって打ち上げられた核実験孔の蓋だと考えられている。 (本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」の7月17日の記事から翻訳転載したものである)
Forbes JAPAN 編集部