マネジャーの約6割が、勤務先でのサポートが「十分でない」 半数が「悩みを相談できず」、半数超が「離職や休職」を考えた経験あり
企業のマネジャー層の多くがマネジメントに悩みを抱えながらも、適切なサポートを受けたり相談したりすることができず、離職を検討したマネジャーも――。法人向けオンライン対人支援サービス「Smart相談室」を運営するSmart相談室(東京)が、部下を3人以上持つマネジャーの会社員540人を対象に、「マネジャーに対するサポート体制」をテーマに行った調査で、こんな実態が浮かび上がった。調査は、インターネットを通して7月5日~8日に行った。 まず全体に、マネジメント業務に関する悩み・課題があるかどうか聞くと、「非常にある」(28.8%)と、「ややある」(46.9%)を合わせて、8割近く(75.7%)が「ある」と答えた。「非常にある」「ややある」と回答した409人に、「自身のマネジメント業務における課題・悩み」(複数回答)を尋ねると、上位3位は「人により仕事量の偏りが出てしまう」(51.1%)、「指示が伝わりづらい」(50.1%)、「チームの生産性が向上しない」(41.8%)、僅差の4位が「マネジャーである自分が仕事を抱え込んでしまう」(41.6%)だった。自由回答では、「世代間の考え方の相違があって、マネジメントが難しい」(60歳)、「個々人のやる気や能力の偏り」(39歳)、「部下への適切な指示と自分の営業活動の両立が難しい」(36歳)などの声が寄せられた。 部下とのコミュニケーションにおける課題・悩み(複数回答)については、「部下のスキルアップの支援が難しい」(37.0%)、「部下に仕事の指示がうまく伝わらない」(32.0%)、「部下の意見を引き出すことが難しい」(30.7%)が上位3位に入った。自由回答では、「相性の悪い人間同士を組ませると何かしらのトラブルが発生する」(47歳)、「どのラインがパワハラになるか難しく指導しにくい」(45歳)、「メンタル不調から復帰した社員への接し方が難しい」(54歳)などの声が寄せられた。 勤務先でマネジメント業務に関する悩みを相談できているかどうかについては、「全くできていない」(13.7%)と「あまりできていない」(36.9%)を合わせて、全体の約半数(50.6%)が「できていない」と回答した。勤務先のマネジメント層に対する支援・サポートが十分に提供されているかどうかについては、「全くそう思わない」(16.8%)と「あまりそう思わない」(42.6%)を合わせて、全体の約6割(59.4%)が「そう思わない」と回答した。また、日々の業務の忙しさやマネジメントの悩みを相談できないことが原因で離職を検討したことがある人は、「何度もある」(21.0%)と「数回程度ある」(30.7%)を合わせ、半数を超えた(51.7%)。 では、マネジメント層に対して、どんな支援やサポートがあれば心強いのだろうか? 複数回答で全体に尋ねたところ、「マネジメントに関するコーチングの実施」(35.6%)、「部下の業務スキルのトレーニング支援」(34.1%)、「悩みを相談できる場所・機会の創出」(33.1%)が上位3位。以下、「部下のメンタルケアのサポート」(28.5%)、「キャリアコーチングの実施」(22.2%)、「部下とのチームビルディングのサポート」(21.7%)、「他のマネジャーとの交流機会の設定」(20.4%)などだった。 同社は、企業が持続的に成長するためには、マネジャー層への負担軽減が求められており、コーチングやメンタルサポートの提供など、マネジャーの職務満足度を高め、組織全体の生産性と革新性の向上につなげることが重要だと指摘している。