/下 3校、初めて甲子園へ 群雄割拠の時代 /秋田
2010年代に入って県勢でセンバツに出場したのは4校。そのうち3校が春夏通じて甲子園初出場と、平成後期に躍進したのはフレッシュな顔ぶれだった。 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 第83回大会(2011=平成23=年)に出場したのは大館鳳鳴。文武両道の校風と前年秋の県大会優勝の実績が評価され、県勢で初めて21世紀枠で選出された。同校は第75回記念大会でも21世紀枠の候補校に挙がりながら選ばれなかっただけに、うれしい初出場となった。 大館鳳鳴の初戦の相手は、前年秋の近畿大会を制した強豪・天理(奈良)だった。三回裏に1死満塁から走者一掃の三塁打を浴びるなど、7失点。続く四回裏にも1点を追加される。一方、攻撃では7安打7四死球と再三得点圏に走者を進めるが、あと1本が出ず12残塁無得点。0-8に終わり、初めての甲子園で得点を挙げられなかった。 第87回大会(15年)では大曲工が春夏通じて初出場。前年秋の東北大会で準優勝を果たしたことが評価された。 初戦は前年秋の四国大会を制した英明(香川)だった。一回表に先制されるも、六回裏にエースで4番の武田龍成投手の適時打などで逆転。続く七回裏にも2点を加え、4-1で甲子園初勝利を手にする。武田投手は9回1失点の好投を見せた。県勢では第78回大会(06年)の秋田商以来、9年ぶりのセンバツ勝利となった。 続く2回戦は名門・浦和学院(埼玉)と激突。一回表に赤川駿内野手の本塁打で先制し、序盤は快調だった。しかし三回裏、浦和学院打線から3連打を浴びるなどし3点を失い、逆転を許す。五回、八回にも1点ずつ奪われ、1-5で敗戦。相手打線を上回る計10安打を記録したが、追加点が遠かった。9年ぶりの県勢8強進出とはならなかったが、その健闘ぶりは多くの県民の記憶に刻まれた。 そして第90回記念大会(18年)。県勢で平成最後にセンバツ切符を勝ち取ったのは、こちらも春夏通じて甲子園初出場の由利工。あいさつ運動など、地域に愛される学校づくりへの野球部の率先した取り組みなどが評価され、県勢2回目の21世紀枠での出場となった。 初戦の相手は当時センバツ20回目の出場で、春夏ともに甲子園優勝経験のある伝統校・日大三(東京)。四回まで毎回得点圏に走者を進めながら無得点と、あと一本が出ない中で四回裏に本塁打などで2点を先制される。六、七、八回にも1点ずつ奪われ、0-5の敗戦。エース・佐藤亜蓮投手が計134球を投げきる力投を見せたが、甲子園初勝利の壁は厚かった。 新しい顔ぶれが次々と甲子園の土を踏んだ平成後期。その台頭は、往年の伝統校に加え、県の高校野球が群雄割拠の時代を迎えたことを県民に印象づけた。【高野裕士】 ……………………………………………………………………………………………………… 2011年(第83回大会) 1回戦 ●大館鳳鳴 0-8 ○天理(奈良) 2015年(第87回大会) 1回戦 ○大曲工 4-1 ●英明(香川) 2回戦 ●大曲工 1-5 ○浦和学院(埼玉) 2018年(第90回記念大会) 1回戦 ●由利工 0-5 ○日大三(東京)