映画大手IMAXの中国子会社CEOが語る「中国エンタメ市場」の爆発力
「大規模な予算のブロックバスター作品が劇場に戻ってきています。中国語の映画でも同じです」
■フロリダ州から中国へ フロリダ州フォートローダーデール出身のマンワーリングは、2006年に中国語への興味と経済に対する楽観的な見方から中国に渡った。フロリダ大学で金融と中国語の学位を取得した彼は、AF Designという自動車部品事業を設立した後に、米国の大手タレントエージェンシーCreative Artists Agency(CAA)に約10年間在籍した。彼は、この経験を通じてエンタメ業界の大物と接触する機会を得た。 映画好きのマンワーリングは、中国を代表する映画監督の1人の張芸謀(チャン・イーモウ)の娘の張末(チャン・モー)と結婚した。義父である張芸謀は『紅いコーリャン』などの作品の監督で、2008年の北京五輪開会式を演出したことでも知られている。「彼はすばらしい映画監督で、すばらしい父でもあります」とマンワーリングは語った。 昨年1月にIMAX ChinaのCEOに就任したマンワーリングは、2009年に北京で『アバター』のチケットを手に入れるために何時間も並んだ経験を振り返った。「その瞬間、IMAXという会社の驚くべき成長の可能性に気づいたのです」と、彼は語る。 マンワーリングがCEOに就任して以降の1年間でIMAX Chinaの利益は、パンデミックに襲われた2022年の1080万ドル(約17億円)から2700万ドル(約42億6000万円)へと2倍以上に増加し、収益も約19%増の8700万ドル(約137億3000万円)に増加した。また、IMAXフォーマットの中国語の映画が、中国本土の興行収入に占める割合も、2022年の58.8%から2023年には61.5%に上昇した。 ハリウッドの『グラディエーターII』や『ウィキッド ふたりの魔女』のようなブロックバスターが世界的ヒットを記録する中で、マンワーリングは、今後の大型作品の復活に期待を寄せている。「今は、大規模な予算のブロックバスター作品が劇場に戻ってきています。それはハリウッド映画だけでなく、中国語の映画でも同じです」 彼はまた、IMAXの劇場で新しいコンテンツが観客に受け入れられつつあると述べている。IMAX Chinaは、ロンドンで開催されたオンラインゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』の決勝戦を中国の150スクリーンで生中継したほか、テイラー・スウィフトのコンサート映画『Taylor Swift: The Eras Tour』を上映して、中国の彼女のファンを熱狂させた。 「今後は、これまでなかったイベントで新たな観客を劇場に呼び込む計画です。中国の観客の好みは絶えず変化しています。それがこのビジネスのおもしろいところなのです」と、マンワーリングは語った。
Russell Flannery