阪神・前川 聖地初弾Vソロ 輝に続いた2者連弾「真っすぐ一本、いい感じで打てた」 逆転3連勝で貯金今季最多10
「阪神2-1ヤクルト」(15日、甲子園球場) 待望の聖地初アーチが勝利を呼んだ。阪神・前川右京外野手(21)が二回に甲子園初本塁打となる決勝4号ソロ。佐藤輝明内野手(25)の同点ソロに続く2者連続弾を右翼席へたたき込んだ。チームも3連勝で貯金は今季最多の10に到達。首位・巨人との2ゲーム差は変わらなかったが、残り11試合、ミラクルVを信じて勝ち続けるだけだ。 【写真】疑惑の瞬間に岡田監督「あれ、アウトか?」 近本の足が先にも見える “1発目”の余韻が残る中での一振りで、さらなる熱狂を生み出した。前川がプロ3年目で初の聖地弾となる4号ソロ。誇らしげに右腕を突き上げてダイヤモンドを一周し、「打った感触はめっちゃ良かったんですけど、どんな打球が入るか分からなくて。初めてだったので、うれしかったです」と甲子園での決勝アーチをかみしめた。 ネクストで佐藤輝の同点弾を見届けて、打席に向かった。「ホームラン打った次のバッターは打ちにくいかなって感じで」。虎党のざわめきを感じながらも、集中は切らさない。3-1から「カウント的にも真っすぐ一本でいって、いい感じで打てたので良かった」と、迷いなく148キロ直球に白木のバットを一閃(いっせん)。1分50秒前に打ち込まれた弾道のデジャビュのように、強烈な浜風に逆らって黄色く染まった右翼スタンドへ打球を運んだ。 甲子園でのアーチは、智弁学園3年の夏、3回戦・日本航空戦で放って以来。リーグ優勝した05年には、林威助と金本知憲が左打者で連発しており、佐藤輝との連弾は吉兆を予感させる。 五回先頭では中前打、七回1死二塁も右前打で3安打。二走・大山がホームを狙って、一度はセーフ判定もリクエスト検証でアウトに。適時打は幻となったが、スタメン2試合連続で猛打賞をマークした。 9月に入ってチームが勢いづく中、自身は打撃が振るわなかった。8日・ヤクルト戦(神宮)の練習中には岡田監督が直接助言。指揮官も「あれは一番悪い時やで。バットが出ない時やったからな。まあ、いい結果出たよ」と1週間前を思い返しつつニンマリだ。 歌の力にも背中を押された。低調でもがいた時期に、「この二つの言葉に心が打たれました」と名曲の歌詞が“指針”となった。「投げ出さない事 逃げ出さない事」-。奇数打席の登場曲を大事MANブラザーズバンド「それが大事」へと変更。1、3打席できっちり快音を響かせた。 自身の眉毛の形が由来の「かもめポーズ」もすっかり浸透。佐藤輝との連発で気持ち良さそうに両腕をヒラヒラさせた。「輝さんが作ってくれたので、感謝していっぱい打ちたいと思います」。追い風は吹いている。奇跡の連覇へ向かって力強く羽ばたく。