将棋の新しい電王戦は引き分けありの「2番勝負」 なぜ奇数番じゃないの?
人間(プロ棋士)とコンピューターソフトが対決する将棋の「電王戦」(主催・ドワンゴ、日本将棋連盟)は、ネット生中継による真剣勝負の緊迫感が伝わり、大きな話題となりました。今春行われた団体戦は「ファイナル」と銘打ち、人間側が勝利を収めましたが、ドワンゴなどはこのほど、プロ棋士が参加する新たな公式戦を主催すると発表。その優勝した棋士とコンピューターソフトの代表が対戦する形で「電王戦」を継続することが決まりました。人間とソフトが一対一で雌雄を決することでより注目度が高まりそうですが、決勝は「2番勝負」という囲碁・将棋界ではあまりみられない形式が取られます。これは「一勝一敗の場合、引き分けで終了する」ことを意味しますが、偶数による番勝負が採用される背景はどこにあるのでしょうか。
来年春に新しい「電王戦」
電王戦は2012年に第一回が行われ、翌年からは3年連続でプロ5人対5ソフトという団体戦形式を採用。過去の団体戦では2013、2014年とソフト側が団体戦勝利し、衝撃を与えましたが、今年は3勝2敗でプロ棋士側が勝ち越しました。全戦がネットによって生中継され、ソフトの欠点をついた戦略なども飛び出して、社会的なニュースになりました。 今回ドワンゴは新たなプロ公式戦「叡王戦(えいおうせん)」を主催することを発表。この棋戦の優勝者は来年春、こちらもトーナメントを勝ち抜いた最強ソフトと対決します。叡王戦の参加は自由エントリー方式とし、糸谷哲郎竜王や郷田真隆王将といった現役タイトル保持者や将棋連盟会長である谷川浩司九段(十七世名人資格保持者)など154人が出場しています。すでに予選は始まっており、12月には優勝者が決まる予定。しかし注目された羽生善治名人、渡辺明棋王はエントリーしませんでした。 来年春予定している一対一の対決「第一期電王戦」は持ち時間各8時間の二日制で、これは将棋界最高賞金の竜王戦と同じ。ただし2番勝負というなじみの少ない番勝負が採用されました。プロ将棋界の7大タイトル戦は現在、5番または7番勝負という奇数番勝負が取られ、引き分け決着というものはありません。日本将棋連盟によると、「2番勝負など偶数番勝負は現代将棋では例はないのでは」と話しています。また囲碁界でも現在、タイトル戦は基本的に奇数番勝負となっています。スポーツでも野球の日本シリーズや米プロバスケットボール「NBAファイナル」は7戦4勝制など奇数番勝負が普通です。