将棋の新しい電王戦は引き分けありの「2番勝負」 なぜ奇数番じゃないの?
偶数番勝負が多いチェス
一方でチェスは逆に偶数番勝負が多いようです。日本チェス協会によると、世界チェス選手権は12番マッチで、勝ち1、引き分け1/2、負け0ポイントの扱いとして、先に6.5ポイント取った方が勝ちになるといいます。偶数にすることで先手、後手の回数をお互いに同じにして有利不利をなくすという狙いがあるといい、またチェスは引き分けになることも多いことから将棋のように奇数番にこだわらなくてよいという面があるとみられます。 コンピューター将棋に詳しい大阪商業大学・アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登氏(元週刊将棋編集長)は「引き分けもありというところがポイントと思います。実際プロ同士の公式戦でも先手がわずかに勝率が高い(約52%)ですから、それも加味されて先手、後手を入れ替えての偶数番勝負になったのでは」と肯定的。2番勝負と通常のタイトル戦より短い形式についても「(プロ棋士代表がほかのタイトル戦と掛け持ちになる可能性もあり)番数が多くなると対局する棋士側の負担が極端に重くなりますから、当初は2番とし、将来的にスケールアップする含みを残してあるのでしょう」と分析しています。 今回エントリーしなかった羽生名人、渡辺棋王が次回以降、「叡王戦」に出場する可能性はゼロではなく、もし参加が決まれば人間対コンピューターの「最高峰の決戦」というイメージは強くなります。第二期以降の「電王戦」で、番勝負などが拡大していくのも注目されそうです。