2年間スマホ禁止 家具職人を育てる「飛騨職人学舎」に密着 入学者が絶えない理由は"超ストイック"な生活にあった
「技能五輪」を目指して"1日10時間"の練習
この日は、毎年夏に行われる「技能五輪(家具職種)」の予選に向けての練習。木材を、のこぎりやカンナなどの工具で削り、図面通りに組み立てて精度を競います。 課題は4本の木で出来た「枠」。単純そうに見えますが、接合部分が特に難しく、台形のように斜めに切った「ほぞ」が、ピタリと合うように作らなければなりません。 (飛騨職人学舎・玉田義卓学舎長) 「結構、難しいですね。ミリというより、"0.何ミリ"ですね」 全国大会に出場するには、予選で基準点を超える必要があります。習得に2年ほどかかる技術ですが、ここでは3か月で身に着くよう取り組んでいます。技能五輪に出場できるのは23歳以下。23歳の市丸さんにとっては、最初で最後のラストチャンスです。 (市丸昌広さん) 「寮では仲間。ここに来たらライバル。心のどこかでは、負けたくないと絶対に思っている」 練習は、毎日午後10時まで。木工と向き合う時間は1日10時間を超えます。厳しい環境に身を置く中で、市丸さんの支えは家族や友人からの手紙です。 (市丸昌広さん) 「僕は"まーこ"と家では呼ばれています。『毎日、みんなでまーこが頑張っているか心配していました。分からなくて当たり前だから、いろいろ聞いて吸収してね』(と書いてあります)。寝る前にいつも読み返しています」
練習の成果を発揮できるか?「技能五輪」予選の結果は
迎えた予選当日。市丸さんは、緊張しながらも、練習の成果をぶつけます。しかし、練習通りにはいかなかったようです。 (市丸昌広さん) 「指を切っちゃって。焦って自分のペースで加工できなかった」 玉田学舎長が結果を発表。1年生からは唯一、木下さんが全国大会への出場を決めました。 目標には届かなかった市丸さんですが、2年間にわたる学校生活は、まだ始まったばかりです。 (市丸昌広さん) 「同級生たちが働いている中で、まだ学びを続けることは勇気のいる選択だったけれど、後悔はない。自分が作りたいものを、どんどん作っていけたらと思います」 「家具職人になる」という強い決意を持ち、高山にやってきた若者たち。刺激を与えあいながら、夢へのステップを登り続けています。 CBCテレビ「チャント!」2024年9月2日放送より
CBCテレビ