中央競馬2024年秋のGⅠレース第1戦、スプリンターズステークスは29日、千葉県船橋市の中山競馬場で行われ、9番人気のルガルが直線で抜け出し1着でゴール。騎手の西村淳也は初のGⅠ制覇を成し遂げた。 「レース中は本当に何も覚えていないんです」と目を潤ませた西村。3番手で直線に入ってスピードアップ、ゴール前200メートルで内側を先行する馬を追い抜くと、そのままゴールを駆け抜けた。強さを存分に発揮した最高の走りが全く記憶にないとは、懸命さが伝わってくる。「レースの前後、最後に覚えているのはゲートの中でヤバイなあ、出遅れたら怒られるなあと。最初に気が付いたのはゴール板切ってすぐ泣いていたこと。（騎手の坂井）瑠星（りゅうせい）さんからはゴール前から泣いていたと」 7年目の24歳。24度目のGⅠ挑戦で、初の勝利。前走、高松宮記念（GⅠ）では1番人気に推されながら10着で惨敗した。しかもルガルは骨折で6カ月の休養に追い込まれた。「杉山（晴紀調教師）先生をはじめ、たくさんの方に迷惑をかけてきた。恩を返していかないと。幸せです」 これまで、先輩騎手の坂井を常に意識して騎乗してきた。「まずあの人を倒したいなと、毎週、毎週、乗ってます」 GⅠに勝って騎手に対する理想がますます高まった。「ひと鞍ひと鞍、全力で勝ちに行きたい。GⅠ騎手を目標にしてきたけど、まだまだ僕の目標はいっぱいあります。がむしゃらにやっていきたい」 勲章を得て若い騎手が成長を遂げた。（佐竹修仁）