ジャニーズの常識覆す「タイプロ」異例ヒットの背景 放送前は「ジャニーズの伝統壊す」批判も…timelesz“前代未聞のオーディション”の全容
今回のオーディションでも、正直、ダンスがうまい候補者は逆に浮いている印象さえあり、スキルが唯一絶対の基準ではないことが透けて見える。 ■空気が凍った場面 その松島聡は、候補者の見ているところとして「人間的な部分」と「timeleszとして一生を共にするくらいの覚悟や熱量の部分」を挙げる(『anan』2024年9月18日号)。オーディション中も「timeleszのことをどれくらい知っているか」をよく質問していた。
彼らは募集要項の段階から「timelesz (Sexy Zone)へのリスペクト」を挙げていた。「我々のグループにリスペクトを持つことが優先(順位)的には大きいから」と番組中でも松島が語っている。 実際にオーディションで候補者がtimeleszに関して「そんなに詳しいことまでは把握はしてないんですけど、もちろん有名な方たちなので存じております」といったような曖昧な答えをすると、菊池風磨が「EXPG(筆者注:EXILEの所属事務所・LDHが経営するダンススクール)でEXILEがさん好きで……だったらLDHのほうがいいんじゃないかなと思っちゃうんですけど」と言い放ち、空気が凍る。
一方で、かつてSexy Zoneのコンサートに来たことがある候補生や元ジュニアとのやり取りは笑いも溢れるあたたかなものだった。 1990年代は、歌って踊る男性グループといえば、ジャニーズ事務所の独壇場だった。だがいまや多くのボーイズダンスボーカルグループが乱立している状況である。 当然、歌やダンスがうまい青年たちは、数ある選択肢の中から、自分の活躍する場所を選ぶことになる。だが、その際に“どこでもいい”と思っている人たちを振り落としにかかっているのではないかとすら思う場面だった。
他にも、オーディションの裏側に密着した『timelesz Behind The Audition』では、間違えて、課題曲ではないtimeleszの曲を覚えてきてしまったという候補者に、他の課題曲は歌えないか問う場面があった。 実は2次審査の課題曲は、timeleszの楽曲ではない。 SMAP、KinKi Kids、嵐、V6、NEWSからSnow Manに至るまで歴代のジャニーズ事務所のグループの楽曲が揃っている。課題曲のチョイスにも3人の事務所グループへの想いの強さが感じられる。結局、その候補者はそれらの楽曲を歌えないということで、その場面は終わっていた。