侍ジャパンの「抑えを決めない」流動的勝利の方程式の妙
ドジャースのスカウトを兼任している敵将から「メジャークラス」と称えられた菅野からの勝利の襷を、岡田が“第2先発”の千賀へとつなぐ。お化けと恐れられるフォークを持つ千賀のストレートが走っていた。 元ヤクルトのデニングはストレートでバットに空を切らせ、続くケネリーへの初球は155キロをマーク、最後は宝刀フォークで仕留めた。この回、3つのアウトをすべてスイングアウトの三振にとって、岡田が作った雰囲気をさらに熱くさせた。力投に背中を押されたように7回には中田翔に決勝アーチ。2イニングを投げて1安打4三振無失点で、宮西へつなぐ。 「とにかくゼロに抑えられてよかった。ブルペンからストライクが入っていたので大丈夫だと思い、ほどよい緊張感でマウンドに上がれた。先発のときと気持ちを変えずに(小林)誠二さんが真っすぐを生かすいいリードをしてくれた。あまり重要な場面を任せられるのは困るけど(笑)、しっかりと、投げられるところを見せられたのはよかった」 WBC球に戸惑い、フォークをコントロールできない期間があったが、「そもそもボールではなく、フォームで悩んでいた部分があった。自分のフォーム思い出して、そこからは大丈夫になった」と言う。 「左右は関係ないが、今日は左が絡んでいたので宮西を使った。対左に効果的だった」(小久保監督)という宮西が3人で抑えると、9回を任されたのは、キューバ戦に続いて、サブマリン牧田だった。 「キューバ戦では、力んでコントロールできず。腕だけで投げてしまっていた。今日は腕をムチを振るようなイメージで使った。しっかりとコントロールはできたと思う。三振をとれるピッチャーじゃないと割り切って打たせて取ることを心がけている」 二死満塁のピンチを作った前夜と、うってかわってテンポがいい。元ヤクルトのデニングに低めのボール球に手を出させてセンターフライ。ケネリーもタイミングが合わずにファーストファウルフライ。最後は代打のニルソンを94キロのカーブの後に131キロのストレートでスイングアウト。外野では、筒香、青木、鈴木が侍ポーズをとった。完璧にストッパーの仕事を果たしたが、9回を任される重圧は生半可ではないという。 「7、8回と9回では気持ちの面でまったく違う。1球で局面が変わるので難しい。でも、自分を成長させるという意味で、いいチャンスをもらっていると思う」