能登の「白米千枚田」、激動の1年間 一面の実り戻るまで
2024年元日の能登半島地震や9月の豪雨で、甚大な被害を受けた石川県輪島市の白米千枚田。世界農業遺産「能登の里山里海」のシンボルとなっていた棚田は、用水路が壊れ、あぜや田には無数の亀裂が今も残る。震災発生から1年間、棚田に関わる人たちの奮闘をカメラで追った。 【動画】白米千枚田、激動の1年間 ◇ ◇ 地元有志らでつくる白米千枚田愛耕会は2月、「先人が守りつないできた能登の財産を復活させたい」と、避難生活のさなか、クラウドファンディングで修復費用を募った。 急ピッチで被害の少ない田を復旧。5月、全国のオーナーらに呼びかけ120枚で田植えをした。規模は小さいが、例年のように水面に並んだ稲は、メンバーを勇気づけた。 夏の炎天下、ボランティアの力を借りながら復旧作業や草刈りを継続。9月には、黄金色の稲穂が海風に揺れる光景を見ることができ、約1・3トンを収穫した。 収穫後、修復を本格化させようとした矢先の9月21日、豪雨の追い打ちに遭う。用水路が再び壊れ、あぜが大きく崩れた。棚田の上部は地滑りが発生し、今も崩れたままだ。 同会は12月、取れた米の試食会を開き、この一年の努力をかみ締めた。 ◇ ◇ 同会は今年、震災を転機と捉え、化学肥料と農薬を使わない栽培方法に挑むと決めた。千枚田の価値を高め、手作業による伝統農法を残す狙いがある。 代表の白尾友一さん(61)は「日本一非効率な棚田で、ますます非効率を極める」と力を込める。(鴻田寛之)
日本農業新聞