Stray City シリーズ「Club ドーシャ」田中涼星・廣野凌大・立花裕大 インタビュー
2.5次元舞台を中心に華々しい活躍を見せる俳優・荒牧慶彦が初めて企画・プロデュースを担当、昨年5月の公演が好評を博し、今年4月にはスペシャルドラマも放送された「Club キャッテリア」。猫たちの世界における華やかな、欲望が渦巻く“カブキマチ”でクロ(石川凌雅)とミケ(泰江和明)がカブキマチの頂点“ホワイトナイト”をめざす姿が描かれた。彼ら「Club キャッテリア」のライバル店が、ラガマフィン(立花裕大)率いる「Club ドーシャ」。そして今回はドーシャ側のドラマが描かれる。シャム(田中涼星)、スコティッシュ(廣野凌大)らに、何が待ち受けているのだろう……? 稽古が開始して間もない稽古場で、田中・廣野・立花に本作への思いを聞いた。 【全ての写真】田中涼星・廣野凌大・立花裕大の撮り下ろしカット
優しいシャムと飛び道具なスコティッシュ、人望の厚いラガマフィン
――まずは、あらためてご自分の役柄を紹介していただけますか。 田中 シャムは自分から表に出ていくより誰かを支えるポジションの方が自分に合っているっていう自覚があって、「この店を盛り上げるために僕もがんばります」っていうタイプ。でも、実は学生時代に学級委員をやってたくらい正義感があるし、結構おせっかいで、そこもかわいらしい。「優しい」という言葉でまとめていいのかわからないけど、ドーシャの中にいるだけでちょっと色がやわらかくなるようなポジションだと思います。 ――そういうキャラクターを演じるうえで、難しかったり工夫したりした部分はありますか? 田中 前回はオリジナル作品の初演だったので、「僕の役はこういうキャラクターです」って提示しつつ、主人公ふたりにうまくパスを出すことを意識していました。自分の中での感情の起伏とか、ひとつのセリフを言うにあたってのシャムのバックボーンは、結構悩みながらつくった覚えがあります。 ――そういう田中さんのシャムを見て、おふたりはどんな風に感じていましたか? 立花 ドラマパートではしっかり自分の役割を果たして、グッとみんなを引き込んで感動させられました。役者としてさすがだと思います。それに日替わりのアドリブパートではこっちが何をやってもきちんとキャッチしてくれるっていう安心感があって、僕としては本当に楽。最高ですね。 田中 僕はそういう時、先輩たちに助けてもらっている印象が強いから、まさかそんな風に言ってもらえるなんて。自分でも気づかないうちに成長できているのかな。 廣野 キャスト各々に自分の武器があって、その中でも涼星くんのパブリックイメージは、言葉にするのは難しいけどおおらかとか、優しいとか、そういう感じじゃないですか。どうしても自分のクセっていうのはあるものだけど、それに無自覚なまま演じるのではなくて、きちんとわかったうえでシャムはまたちょっと違うところを見せている。それって当たり前のようでいて、実はそれができている役者って意外といないんですよ。だから涼星くんはその時点で、僕の中で絶大な信頼度がある役者のひとりです。 田中 ……今夜はいい夢見れそうです(喜)。 ――いい夢、見ちゃってください。ではスコティッシュをあらためて紹介していただけますか。 廣野 俺様系の発言で一番クセが強い、ドーシャの名物キャラみたいなイメージだと思うんですよね。 立花 飛び道具的なところがあるね。 廣野 だからこそ、それだけに頼ってしまわないようにしないと。前回はあまり描かれなかったスコティッシュのバックボーンも、今回は描かれそう。だからこそ、そこをより掘り下げて意味をもたせる演技ができたらと思っています。 田中 スコティッシュが素晴らしいっていうのは基本として、作品にアクセルが必要な時に、それをコントロールしてくれるのが凌大。自分の中にタイム感がしっかりあるから、舞台そのもののテンポをコントロールできるんですよね。そういう部分は僕にはないので、すごくリスペクトしてます。 廣野 僕はこのキャストが好きなので、みんなが評価されることが自分の評価にもつながると思うし、俯瞰して作品に従事している意識はあります。もちろんスコティッシュとして、どういうポジションで何を求められているのかも考えますけど。 ――なるほど。そしてドーシャの支配人で、みんなの兄貴分という感じのラガマフィンですが。 立花 ラガマフィンは「Clubキャッテリア」、そしてラグドール(荒牧慶彦)の強烈なライバルとして登場して、カリスマ的だし人望も厚くて面倒見もいい、それにショーマンでエンターテイナー。ラグドールと競い合いながら、何回もホワイトナイトを獲ってきた。そしてドラマでは、実はラグドールとメイ(小沢真珠)という女性をとり合ったり、アビさん(アビシニアン、弓削智久)っていう素敵な先輩がいたりした、っていう過去が描かれました。ラグドールとはお互い張り合いながらもすごく信頼しているっていう関係性が見えてきて、すごく楽しいですね。今回の舞台では、これまで気を張って生きている中で隠れていたラガマフィンの少し弱いところも見られるんじゃないかな。