「青学大は上りが強い…」「全日本では凌げたが箱根駅伝は…」往路4位・駒澤大が青学大との差を感じた区間とは? 主力を襲った「誤算」と「異変」
山の練習を平地の感覚でやってしまった
藤田監督もその言葉にうなずくしかなかった。 「5区の練習を平地の感覚でやっちゃったのはあるかもしれないですね。走力がついた分、余裕度が生まれたんですけど、山だけは山の練習を始めいろんな準備をしないと、なかなか難しい。斎藤(将也・城西大3年)君も平地では走れるけど、やっぱり70分かかってしまうので、青学大とはそこの準備の差が出たなと思います」 かつて2代目・山の神の柏原竜二は、「5区にとらわれるのではなく、平地で走力を付けることが5区で走れるようになるために大事なこと」と語った。それはまさにそうなのだが、柏原は山での走りも夏に十分こなしていた。平地の走力=山の強さは、山の訓練があってこそ初めてリンクするものなのだろう。
エース篠原を2区投入の是非
「山川は誤算でしたが、2区の篠原も、彼の良さが活きる区間で本当は走らせたかった。改めて区間配置の難しさを感じました」 藤田監督は、悔しさを押し殺したような声で、そう言った。 篠原は当初から、自らエース区間を走ることを公言していた。駒澤大のエースとして、田澤廉(トヨタ)、鈴木芽吹(トヨタ)が歩んできた道を自らも進んでいく覚悟の2区だった。 エ-スが駆けた2区に、藤田監督は、どんな難しさを感じたのだろうか。
篠原は本来は3区タイプ
「篠原は本来は3区のタイプの選手ですから、2区の上りは向いてないんです」 トラックで抜群のスピードを誇る篠原だが、今シーズンは全日本7区で区間賞を獲るなどロードでも強さを見せていた。だが、箱根の2区でも同じように行けると考えるのは早計で、権太坂や戸塚の壁の上りには、上りの適性、強さが必要だ。それでもあえて2区に挑んだのは、エースとしての矜持がそうさせたと言えよう。 とはいえ藤田監督は、「篠原の走りが往路4位に繋がった」と言った。 「黒田(朝日・青学大3年)君や吉田響(創価大4年)君が来たら、65分台で行くだろうなって思っていました。その中で篠原は、駒澤のエースとして、鬼気迫るような走りを見せてくれたので、後続の選手も走れたと思います。あの上りが強い2人を向こうに回して、上りが得意じゃない篠原が戦ったわけですから立派ですよ。それが駒澤のエースですよ」
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