JPモルガン・アセット、公的債務に投資の欧州ガバメントMMF設定
(ブルームバーグ): JPモルガン・チェースの資産運用部門、JPモルガン・アセット・マネジメントは、マイナス金利時代にほとんど姿を消していた公的債務に投資する欧州のマネー・マーケット・ファンド(MMF)を設定した。
5億ユーロ(約850億円)の資産で今週スタートしたこのファンドは、政府または政府系証券のみを購入する。JPモルガン・アセットで欧州とアジアの流動性セールスを担当するジム・フュエル氏によると、顧客からこのようなファンドへの要望があった。欧州のMMFで一般的な銀行債を必要とせず、安全な公的資産から高い利回りを得られるためだという。
このようなファンドは比較的珍しい。調査会社クレーン・データが追跡している120本のうち、政府債務に焦点を当てたユーロ建てのMMFは11本しかない。昨年のシリコンバレー銀行(SVB)とクレディ・スイスの破綻で注目を集めた銀行債務に神経質になっている投資家からの需要もあるとフュエル氏は述べた。
フュエル氏はインタビューで、「顧客にはリスクを取りたくないという要素がある」と語った。「2023年にSVBやクレディ・スイスのような事件があったことで、銀行のリスクに対する忌避感は反響し続けると思う」と語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)による積極的な利上げサイクルの後、MMFへの関心が爆発的に高まった。現在提供されている高い金利は、このようなファンドが事実上、債券の利回りと現金の安全性を兼ね備えていることを意味する。
ユーロ圏では、23年末時点でMMFの資産残高は1兆7000億ユーロを超え、前年比で13%急増していた。米国では短期金利が5%超を維持しているため、6兆ドル(約934兆円)以上がこうしたファンドに投資されている。
米国債市場の規模と流動性の大きさから、米国のMMFの多くは常に国債を中心に投資してきた。一方、14年にECBが金利をゼロ以下に引き下げた後、欧州のマネーマネジャーはリターンを高めるために短期銀行債により大きく傾倒せざるを得なくなった。