江川卓、落合博満、野村克也…名選手が引退を決意した“瞬間” ノムさんが深く反省し、引退を決意した“出来事”とは
「これはもう潮時かな」(落合博満)
三冠王を3度達成した不世出の大打者・落合博満は、日本ハム時代の1998年を最後に44歳で20年間にわたる現役生活にピリオドを打った。 同年、4月3日の西武戦で開幕4番を務め、猛打賞を記録した落合だったが、その後、打率は3割を切り、4月26日の西武戦から6番降格。7月以降はスタメンもわずか2試合と出場機会が激減したが、それでも「自分は日本ハムを辞めることになると思うが、それはあくまで自由契約による退団だ。現役へのこだわりがある限り、引退ではない」とアピールしつづけた。 そして、シーズン最終戦となった10月7日の古巣・ロッテ戦、上田利治監督が先発DHでの起用を提案すると、落合は「オレは代打で出発した選手。だから、最後も代打でいいんだ」と辞退し、5回に代打で登場。黒木知宏の外角低め、141キロを打って一ゴロに倒れ、これが現役最後の打席となった。 10月14日、体力の限界を理由に引退を発表した落合は、「いつ引退を決意?」の質問に対しては、「自分の中には明確な時期があるが、今この場で言うものではない」と言葉を濁した。 その時期が明かされたのは、2022年10月28日に更新された自身のユーチューブチャンネルだった。 シーズンの初めごろは、まだ引退を考えていなかった落合だが、千葉マリンのナイター(ロッテ戦)で、一邪飛を捕球しようとした際に、「(落下地点は)ここだろうなっていうところに入ったら、もう5メートルくらい後ろにボールが落ちた」。フライには絶対の自信を持っていただけに、「これはもう潮時かな」と考えたという。 ちなみに同年、落合が千葉マリンで出場したのは、開幕直後の4月7日と延長10回に代打で出場し、1イニング(打者2人)ファーストを守った7月10日、前出の10月7日の計3試合だけ。該当する試合は特定できなかったが、打撃ではなく、思いどおりの守備ができなくなったことで自らの限界を悟ったのも、落合らしい幕引きと言えるだろう。