台風14号「上陸しないから安心ではない」 秋雨前線の位置がポイントに
強い台風14号は9日午前9時現在、四国の南の海上にあり、北東にゆっくり進んでいる。今後、次第に東寄りに進路を変え、10日午前9時には紀伊半島の南あたり、11日の朝には伊豆諸島を通り過ぎる予想となっている。気象庁によると、当初の予想よりは南寄りを進むとみられるため、本州に上陸する可能性は低くなったという。 上陸のおそれがなくなってきたことで、本州への風の影響は小さくなったとみられる。また、台風が南を進めば、台風を起源とする暖かく湿った空気が本州付近に入ってくる量が減るため、降水量は全体的に少なくなる見込みだ。 ただ、地域によっては、大雨への警戒は引き続き必要だという。なぜだろうか。そのポイントは「秋雨前線」だ。 気象庁の杉本悟史主任予報官によると、台風の北側に秋雨前線が停滞していて、この前線は台風が進むのに伴って北上し、伊豆諸島や関東南岸などにかかる可能性があるという。前線の北側では高気圧の周辺を回る東または北東の風が吹き、前線の南側では南東の風が吹く。向きの違う風が前線付近でぶつかることで、大雨を降らせる積乱雲が発達する状況になりやすいという。 さらに、台風14号が、秋の台風にしてはスピードが遅いことも警戒が必要になる理由だという。前線付近で上昇気流が発生しやすい状況が長期間続く可能性があるためだ。 このほか、地形の影響で紀伊半島の南東向きの斜面、伊豆半島の東から北にかけての山地の東向きの斜面などでも総雨量が多くなる可能性がある。また、台風が通過する可能性が高いとみられる島しょ部などでは、台風本体の発達した雨雲の影響を大きく受けることになる。 台風14号は10日にかけて西日本へ、10~11日にかけて東日本に接近するとみられている。地域によっては「上陸しないから安心ではない」ことに留意して、この週末を過ごしたい。