大井競馬場に1万人収容アリーナ建設へ、新たな誘客と防災の拠点に…30年度完成目指す
日本最大級の地方競馬場・大井競馬場(東京都品川区)を所有する「東京都競馬」は、同競馬場敷地内に収容人員1万人規模のアリーナ施設を建設する方針を固めた。インターネットでの馬券購入の普及で来場者が減る中、新たな誘客の手立てを講じて収益につなげたい考えだ。首都直下地震などを想定し、首都圏の防災拠点の役割も担わせる。 【図解】インターネット販売が地方競馬のV字回復に貢献
大井競馬場は1950年開場。敷地面積は約38万平方メートルで、本馬場は約6万人収容できる。ただ、稼働しているのは原則、年約100日の競馬開催日だけで、残りはほぼ遊休状態なのが長年経営課題とされてきた。
さらに、近年は自宅にいながら馬券を購入できるネット競馬の普及で、開催日でも空席が増え続けている。2005年度に1日平均9421人だった開催日の来場者は、23年度には4536人と半分以下に減少。施設の有効活用の観点からアリーナの建設を決めた。
関係者によると、アリーナは、老朽化した観客席の一部を解体して用地を確保する方向。収容人員は1万~1万5000人程度で、コンサートやスポーツ大会の需要を取り込む。
一方、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模災害時の防災拠点としても活用するという。首都高速道路の出入り口や羽田空港、東京港と近い立地を生かし、避難所だけでなく、首都圏内外の被災地に物資や人員を運ぶためのベースキャンプとしての機能を持たせることを検討している。近く、品川区などと具体的な協議を始める。施設の完成は2030年度を目指す。
東京都競馬は、太平洋戦争からの復興財源を賄う競馬事業を行うため、1949年、都などが出資して設立された。昨年末時点で、都が約29%の株式を保有する。2023年12月期は連結売上高375億円、純利益84億円の増収減益だった。