失敗で怒ると「大人の顔色伺う」 監督ベンチ不在…行動力高める“教えすぎない”指導
筒香嘉智がオーナーを務める「和歌山橋本Atta boys」…指導理想は「ガキ大将」
前サンフランシスコ・ジャイアンツ傘下マイナーの筒香嘉智内野手がオーナーを務める小学生硬式野球チームの「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」が、今月1日から2日間にわたり、元メジャーリーガーのカート・スズキ氏が監督を務める米国ロサンゼルス近郊のポニーリーグチーム「PONO(ポノ)」と和歌山県橋本市で交流した。両日行われた試合では、サインや選手交代を選手たち自身で決定し、監督はベンチの外から見守るというAtta boys独自のスタイルが際立った。 【動画】“ネットの近く”で腕振りを矯正 元プロ実演…コンパクトで力強い投げ方を覚える練習法 Atta boysの活動場所は、筒香が2億円の私費を投じて故郷に建てたスポーツ施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」。筒香の想いが反映されたチーム理念は、子どもたちが「自分で考えて決断する、行動する力」をつけること。代表を務める筒香の兄・裕史(ひろし)さんと、堺ビッグボーイズ小学部でも指導者を務めてきた松下謙太監督が中心となり、独自の指導法を行っている。今回は、エンゼルスで大谷翔平投手とバッテリーを組んでいたスズキ氏が率いるPONOが来日し、日米それぞれの練習メニューを体験するなど、内容の濃い充実の2日間を過ごした。 交流試合では2日間ともにAtta boysが勝利を収めた。監督の采配が冴え渡ったのかと思いきや、試合前に「1投手最大2イニングまで」「選手は全員出場すること」というお題を、選手たちに2つ出しただけ。試合中に監督はベンチ不在で、サインはなく、選手たち自身がラインナップや選手交代を決めるというスタイルが採用されていた。 主体性を持つこと願い、あえてキャプテンは決めず立候補制。この日も「僕がやる!」と、あちこちから勢いよく手が挙がった。試合が始まれば、キャプテンが監督さながらベンチ前に立って大きな声で指示を送り試合を進める。守備に就いた選手同士もよく声を掛け合っているのが印象的。プレーをしっかり観察し、試合の流れを考えなければ、こういった指示の声は出ないだろう。 観察し、考えることは、チームメートに対する理解を深めることにも繋がる。それぞれの得意不得意お互いにを理解していれば、守備の苦手な選手のところに打球が飛んだ時は「カバーリングに入ろう」と自然に体が動くようになるし、選手間の声かけも増えてくる。そんな場面が試合では目立った。