親はなぜ叱る…? “叱る依存”を脱するには…臨床心理士に聞く
◆子どもの冒険モードを大切に
自分で考える子どもになるには、冒険モードが大切だと思います。行動は全く同じでも、やりたくて冒険モードでやっているのか、叱られるのが嫌で恐怖、苦痛から逃げる防御モードでやるのか、子どもの内側のモードの違いをみるといい。 見分けるのは簡単で、親が何も言わなくても勝手にやるか。ピアノでも最初は親の勧めだったとしても、うまく冒険モードになったとしたら、なんかふっと気がついたらピアノを触ってるとかね。 やっている内容の良い悪い、役にたつでなくて、日常に埋め込まれたちっちゃな冒険モードみたいなことがすごく大事だなと思っています。 あまりにも親御さんと同一化して、親御さんの願望をかなえることが自分の願望なんだみたいな、この境界線が薄くなることは十分起こり得るので、早いタイミングから、お父さんお母さんはこう思う、あなたはどう思うの、とお互いの主語をつけて話し合う。もちろん全部子どもの要求をのめという話ではなくて、家族会議などやって、子どもの思いがちゃんと取り扱われることが大事。 実は、冒険モードは、子どものうちは封印して、後々になって簡単になれるかというとそうではない。高校生ぐらいまでの間にその芽をつんじゃうと、大きくなっていきなり冒険モードになれといってもなれない。「やりたいことが見つからない」となる。 つまり、これは親が抑圧して消してしまえるものなんだと危機感を持ってほしい。植物で、どうやったら葉っぱがもうちょっと大きくなるかしら、花が早く咲かないかなと、いじり回って、根からぬいてしまうみたいな。
◆叱りたい欲求があるんだと自覚して
処罰感情は、権力者だけの特権なんですよね。 権力や正義の側に立てる人が、権力のない、正義じゃない人をみて感じる欲求なので。大人とか権力がある側は、そういう欲求や感情があるんだってことを自覚していきたいですよね。 パワハラしている人はパワハラと自覚しないのが難しい点なので。「相手のためを思って言ってやっている」という時に、実は、叱りたい欲求があって、それを満たすために言っているのかもとまずは自覚していく。チャンスの扉の前にうずくまり、冒険できない人を育てたくないならば、です。