親はなぜ叱る…? “叱る依存”を脱するには…臨床心理士に聞く
◆叱る依存とは…
子どもが叱られることに慣れてくると、親が期待するような反応をしなくなるのはよくあることで、すると、叱る側はさらにもっともっとと強く言う悪循環に陥る。エスカレートして叱らずにはいられない、私はそれを「叱る依存」と言っているんですが。元々依存症と言われているものは、なんかすごく苦しみを抱えている人が、苦しみから解放された体験をした時に、その「苦しみから解放してくれたもの」に強く依存していくと考えられています。 だから叱るという行為に関しても、親御さんがすごく余裕がない時、「なんでこんなことするの!」と叱って、自分がそもそも抱えている苦しみをちょっと忘れられる、解放されるような体験をされる方が多いと思うんですね。それが強烈にその次の叱る行為をうみ、はまっていくパターンじゃないかなと思います。
◆では、どうすればいいのか?
ますは、叱る自分や叱ってしまっている人を叱らないでください。先ほど、お話ししたように「叱る」には、学びや成長を促進する効果はないので、自分で自分を叱っても成長しないし学ばない。 では、どうするのかというと、気がついたら叱らなくなっていた、を目指すのがいいかと。「今日も叱ることを3回も我慢したぞ」とやって、成功した人をほぼ見たことがないです。 大事なことは、叱りたくなるような状況自体をどうやって減らすのか、私は「前さばき」と呼んでいますが。一番のコツは、予測力を高めること。どのタイミングで何について怒るだろうかと予測をする。そうすると、叱る自分を客観的に見ることができるようになります。それで実際叱っても全然OK。自分が予測してない場面で叱ることを減らしてほしいです。 例えば、毎朝「用意するのが遅い」と親が怒る、口げんかになるとしたら、親子で話し合って、前の晩に準備してみるとかね。忘れ物が気になるなら、忘れ物をしても問題ないように、学校にも聞いて、学校と家の両方に必要なものを置くなど、叱らなくて済む状況、環境を整える。 さらに、お子さんが「しない」のか「できない」のかを見極めてほしい。親からみて「やる気がないんだ、まじめにやってない」とものすごく叱りたくなる場面でも、実際にはできないんだってこともある。どうやったらできるようになるか、親子で話し合う。そういう会話が増えるほど、だんだんと「叱るを手放す」に近づいていくかなと思います。