旧友に連絡する高い壁、越えやすくする「練習法」が判明、思った以上に相手は喜ぶとも
友情の練習
行動を変えるという新しいアプローチでは、参加者に「ウォーミングアップ」をさせた。あるグループには3分間で現在の友人や知人にメッセージを書いてもらい、別のグループにはソーシャルメディア(SNS)を見るのに3分間を使わせた。その後、全員に旧友へメッセージを書いて送るよう促した。 練習は効果を発揮した。事前にSNSを見たグループでは、旧友に連絡した人は31%にとどまったが、現在の友人でウォーミングアップした人の53%が最終的にメッセージを送信した。これはウォーミングアップしなかった人より7割も多い。 では、なぜウォーミングアップして乗り越えなければならないほど障壁が高いのだろう? 時とともに、旧友でも他人のように感じられるものだとアクニン氏は説明する。この心理的な距離こそが、人々が旧友とつながる際に主な障害になっているという。 米マサチューセッツ大学アマースト校の心理学者ジュゼッペ・ラビアンカ氏によれば、連絡が途絶える前に互いが築いていた友情の種類も、心理的な距離を埋める難しさを左右するという。互いを信頼する親密な関係だったなら、途絶えた友情を再開できる可能性が高く、拒絶されるのではないかという不安も小さい。なお、ラビアンカ氏は今回の研究には参加していない。 拒絶されたり気まずくなったりすることを恐れるあまり、私たちは慎重になりすぎているのかもしれないとアクニン氏は述べている。 結局のところ、私たちにとって、社会的なつながりはより多く、より多様な方がいい。だからこそ、新型コロナウイルスの流行が始まったころ、自宅に閉じこもっていた多くの人が旧友と連絡を取っていたのだ。ラビアンカ氏は旧友との関係を「休眠状態のつながり」と呼んでいる。 「多くの場合、つながりが休眠状態になるのは、引っ越したり、興味の対象が変わったりして、相手を見失ってしまうためです。しかし、よく考えてみれば、それが久しぶりに再会することの有益さや面白さにつながっているのです」とラビアンカ氏は話す。「別々の人生を歩んでいるため、新しいことやクールなこと、変わったことの話が聞けるかもしれません」