【鉄道考】誰がどのように道筋を…JR北海道赤字路線の“その先” ヒントはJR西日本芸備線?
「既存の枠組みでは限界」ではどうしたら…
「地域交通を守りたい自治体」と「赤字を免れられない鉄道事業者」の関係は、全国で浮き彫りになっている課題です。 JR北海道に対しては、国が2024年3月、3度目となる監督命令を出し、3年間で1000億円余りにのぼる財政支援の継続を発表。 コロナ禍で進められなかった8つの「黄線区」の抜本的な対策について、2026年度末までに取りまとめるよう指示しました。
黄線区の維持に向け必要なのは、利用促進の取り組みです。 札幌と富良野を夏限定で往復する特急・フラノラベンダーエクスプレス。 道やJR北海道は2024年、すでに廃止した車内販売を復活。
北海道ゆかりの菓子や酒などをPRする作戦です。 (新潟からの観光客)「見たことがない商品がいっぱいあるから楽しいです」 (新潟からの観光客)「景色を見ながら選べて買えるので楽しい」 沿線の自治体は、まずは「道」が主体的に線区毎の役割を明確にすべきと力説します。 (富良野市 北猛俊市長)「自治体だけで協議を進めるというのは、関係する沿線自治体がいくつかあるといっても限界がある。鉄路というのはつながってこそのネットワークですから、北海道の中でどういうふうにつなげるかが大事になってくる」
一方で専門家は、利用促進や経費削減だけでは根本的な解決にはならないと喝破します。 (北海道大学大学院工学研究院 岸邦宏教授)「分割民営化して30年以上経って、当時こうやって維持していこう、特に北海道・四国・九州の三島会社はこうやって維持していきましょうと決めたものが、すでにいまの時代にそぐわなくなっている。既存の枠組みで制度とか財源で黄線区をどう維持するかというのは限界があって、抜本的に新しい制度をつくらないといけないというところが、国が積極的に検討していかなければいけない。」
「ただそのときに、地元が何も努力しないでただ残してくれという形で国の予算を使って残してくださいということになると本末転倒になるので、沿線自治体の住民の皆さんが自分たちの公共交通だという形でどれだけ使えるか、そして外の地域から来る観光客をどうやって鉄路を使って呼び込むか、その部分の利用促進はやはり形として示していかなければならない」 利用者の低迷で岐路に立たたされる鉄路。 鉄道網の維持に向けて光明を見出すことはできるのか、議論の時間はそう長くは残されていません。