職人に正当な評価を。屋根材問屋3代目がアトツギベンチャーで挑戦したいこと
新たな事業が生まれた背景
■コツコツ頑張る人を引き上げたいと生まれた新しいビジネス 山田:気づいた「不」から生まれたビジネスについて教えてください。 白神:屋根職人とエンドユーザーを繋げるマッチングサイトを立ち上げました。建築業界はハウスメーカーやリフォーム店から職人さんまで、多重下請け構造になっています。そんななか、職人さんが注目されづらく、こだわってやっている仕事が伝わっていない現状がありました。 家業に入って初めて、建築関係で働く方々がすごく仕事をしていることがわかりました。自分自身、証券会社時代は、土曜日に出勤したら評価されましたが、職人さんは月曜日から土曜日まで暑くても寒くても現場で働いていて、日曜日はお客様と話すので、ほぼ休むことがありません。それでもあまり評価されていなかったんです。 そういった不の部分を見て、誰かが改善しなきゃいけないと思うようになりました。 やねいろはのサイトでは、特に職人さんの環境を良くしたいという気持ちから、職人さんへの取材を大事にしています。類似のサイトでは基本的に取材はしておらず、しなくても仕事はできるし、マッチングも成立しますが、うちでは取材を大切にしています。職人さんのなかには口下手な方もいらっしゃるので、取材に2時間半くらいお時間をいただいています。 職人さん自身の生い立ちや会社について、どういう工事をやっているのかを聞きます。 山田:エンドユーザーからすると、それを見てこの人に頼みたいと思うのでしょうか? 白神:職人さんは言葉が少ない方も多いので、本当にこの人がちゃんとやっているのかエンドユーザーは少し不安なんです。でもこれだけの情報が書いてあれば、この人にお願いしても大丈夫なんじゃないかと思ってもらえると思うんです。 他のサイトが口コミの数で勝負しているところを、うちは口コミの数よりも、その人が考えて今までやってることをしっかりと汲み上げることで品質を担保したいと考えています。 山田:マッチングだけではない、次のアクションはどうお考えですか? 白神:サイトを通じてできた職人さんとのネットワークを生かすため様々な提携をしています。 例えば保険会社との提携です。雨漏りや火災など何か問題が起こった時、保険会社はお金は出しますが、そのための調査やその後の工事はできません。各地域で本当に良い工事店を見つけることが難しいため、うちと提携することで、調査や工事がしやすくなるんです。 私たちとしても、職人さんのためになることだったらやろうと思っています。