『RRR』だけじゃない! 40を超える映画から謎の超大国インドの魅力を存分に味わおう!
――宮崎さんはインドで映画を見るとき、どうやって作品を選ぶんですか。 宮崎 映画館の前で「この映画、面白い?」って、そこにいる人に聞きますね(笑)。ひとりに尋ねると、みんな集まってきて教えてくれます。 インド映画は長いから、3時間かけて見た映画がバッドエンドだったりすると、つらいんですよ。観客に飽きられないように、製作サイドも工夫をしているのはわかるんですが、突然バッドエンドで終わったりすることもあって。 ――それは悲しいですね。初心者はどんなふうにインド沼に触れたらいいでしょう。 宮崎 自分の興味と重ねてみたらいいと思います。映画は種類がありますし、食べることが好きなら、最近はいろいろな地方のインド料理のお店があるので、食べ比べてみるとか。インド演劇には喜怒哀楽、すべての感情が入っていますが、インド映画にも通じる価値観です。庶民の娯楽であるインド映画は、インド社会の今を映していると思います。 ●宮崎智絵(みやざき・ちえ)熊本県出身。宗教社会学者。立正大学文学部史学科卒業。同大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学。インドの宗教と社会を中心に研究。二松學舍大学・日本大学理工学部・立正大学非常勤講師、立正大学人文科学研究所研究員。論文に「インドにおける宗教的マイノリティと日本人女性の結婚」(二松學舍大学論集59号)、共著に『支配の政治理論』『平等の哲学入門』(共に社会評論社)などがある ■『インド沼 映画でわかる超大国のリアル』インターナショナル新書 1034円(税込)映画の製作本数世界1位を誇る映画大国インド。2022年公開の映画『RRR』の世界的ヒットにより、インド映画の存在はより身近なものになった。本書では、そんなインドを語る上で欠かせない14のテーマについて、『RRR』『ムトゥ踊るマハラジャ』『きっと、うまくいく』など日本でもおなじみのヒット作を含む映画作品40本以上の紹介とともに解説。思想や文化・暮らしなど、超大国インドのリアルを学べる一冊 取材・文/矢内裕子 撮影/幸田 森