評価急上昇の酒井高徳は、内田を超えられるか?
システムこそ違え、ザックジャパン時代とおおよそ同じ先発メンバーでアジア杯を戦っているアギーレジャパン。そんな中、ハビエル・アギーレ監督になってから一気に台頭し、1月18日時点でこれまでの全8試合に出場しているのが、左右両サイドバックをこなせる23歳のDF酒井高徳(シュツットガルト)だ。 8試合の内訳は、アギーレ初陣のウルグアイ戦のみ途中出場で、2戦目以降の7試合は先発出場。左右で見ると、先発した7試合は11月のホンジュラス戦のみ左だったが、それ以外の6試合は右だ。 日本の右サイドバックには、岡田ジャパン時代からレギュラーを務めてきた内田篤人(26歳、シャルケ)がおり、代表キャップ72を刻んでいる。昨年のブラジルW杯ではグループリーグ1分け2敗と惨敗した日本代表において好パフォーマンスを見せた少ない選手として、サッカーファンから大いに称賛された。アジア杯は右ひざ痛のために不参加となったが、アギーレジャパンとして唯一出場したホンジュラス戦では安定したプレーで存在感を示していた。 アギーレ政権下での出場はわずか1試合だが、評価そのものはまったく下がっていない内田。ところがその一方で、進境著しい酒井の評価が高まっているのもまた事実だ。酒井は内田を超えることができるか。ここで一気にレギュラーを取れるだろうか。 まず、アジア杯グループリーグ2戦目までの日本の戦いぶりを振り返ると、パレスチナ戦で4-0、イラク戦で1-0と、2試合連続で無失点勝利を収めており、内容も危なげない。開催国オーストラリアで報じられているトーンはほぼ「日本、強し」というもの。DFである酒井にとって2試合無失点勝利という結果はポジティブなものだ。 では、一つ一つのパフォーマンスについてはどうか。パレスチナ戦では、「あまり緊張するタイプではなかったけど、久々に少し緊張した」と振り返ったように、大会の初戦という難しさに加えて「相手がどういうタイプか分からなかったので手探りになり、前半は後手後手に回ってしまった」と反省の弁を口にした。その言葉通り、前半はイージーなミスや曖昧なクリアでボールを失う場面もあり、カウンターを受けるシーンもあった。 だが、時間が経つにつれて相手との関係に慣れていき、後半はほぼそつなく対応できていたのは好印象だ。さらにこの試合では、別の観点からも酒井の成長が見て取れた。左サイドバックに入った長友佑都とのバランスをうまく整えながら90分間を戦い抜いたことだ。