製作30周年&パブロ・ネルーダ生誕120周年!『イル・ポスティーノ』が4Kデジタル・リマスターで上映決定
1996年に日本で公開されロングラン大ヒットを記録した『イル・ポスティーノ』(94)が、製作30周年を機に『イル・ポスティーノ 4Kデジタル・リマスター版』として、11月8日(金)より順次公開が決定。あわせて、修復された本編より新たに制作された予告編映像、ならびにポスタービジュアル、場面写真が解禁となった。 【写真を見る】1996年に日本で公開されロングランヒットを記録した『イル・ポスティーノ』が4Kデジタルリマスターで蘇る! 今年2024年に生誕120周年を迎える詩人、パブロ・ネルーダが数年間イタリア南部の小島で過ごした事実を基に映画化を実現した本作。南イタリアの小島を舞台に、高名な詩人と内気な郵便配達人の友情を描く。1995年度のアカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされ、作曲家ルイス・エンリケス・バカロフが、オリジナル作曲賞を受賞。名声に輝く偉大な詩人ネルーダと、そんな煌びやかな世界とは縁のなかった郵便配達人との間に芽生えた心温まる友情を描き、日本でも上映当時ロングランヒットを記録した。 公開当時、主人公の郵便配達人を演じたマッシモ・トロイージが、本編撮影終了の12時間後に完成作品を観ることなく、41歳という若さでこの世を去ったということを世界は驚きとともに知ることとなった。もともと心臓に病があり、本作の撮影中には体力の限界に達し、1日2時間しか演技ができなかったトロイージ。彼の命が注がれ、どこか儚い影と天性のユーモアをたたえた愛さずにいられないキャラクターを創り上げ、アカデミー賞男優賞にノミネートされた。主人公に心を許しメンター的な存在となってゆく高名な詩人ネルーダに扮したのは『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)の映写技師役で映画史にその名を刻むフランスの名優フィリップ・ノワレだ。撮影中に、いまにも倒れそうなトロイージを現場で励まし続けたという。2人の名優の忘れ難き名演と魂が刻まれた本作は、世界中の観客に感動を呼んだ。 このたび解禁となる予告編映像では、南イタリアのナポリ湾に浮かぶ小島の陽光や青い海と空が、詩人ネルーダと郵便配達人マリオの友情、詩を知る喜びや鮮烈な恋を引き立たせている。そんな本作が、映像も音も鮮明に4Kデジタル修復され、アカデミー賞オリジナル作曲賞受賞の名曲が心に染み入り感動の予感を漂わせる。 あわせて到着したポスターには「“言葉“が、人生に愛を運ぶ」というキャッチコピーが添えられている。ネルーダが紡ぎだす言葉の豊かな力は、主人公マリオに広く自由で豊かな世界へと飛び立つ翼を与えたが、その世界には同時に厳しさもあった。この世に生まれ、思いがけない人と出会い、そして別れることの素晴らしさとせつなさが、観る者の魂に波のように寄せては返す忘れられない物語を期待させる予告編とポスターになった。 イタリア南部の美しい小島を舞台にした心温まる本作は、4Kデジタル・リマスターでどのように甦ったのだろうか?製作30周年、パブロ・ネルーダ生誕120周年のこの機会に本作をぜひ劇場で楽しんでほしい。 文/鈴木レイヤ