《三菱商事は驚異の2090万円》上場企業「平均年収ランキング」に異変 半導体メーカーが続々上位に浮上、メガバンクと総合商社に明暗も
世界的な物価上昇の流れもあり、日本企業も少しずつ「賃上げ」に動き始めているとされるが、サラリーマンの最新の給与水準はどうなっているのか──。東京商工リサーチの協力のもと、最新(2023年度)の上場企業平均年収ランキングを作成した。 【一覧表】上場企業「平均年収ランキング」TOP200を大公開 3位はキーエンスで2067万円、2位は三菱商事で2090万円
ランキングでは、誰もが知る超有名企業だけでなく一般には馴染みのない会社も上位に名を連ねている。激変の最中にある日本企業を取り巻く環境の映し鏡とも言えそうだ。そうしたなか、今回のランキングで全上場企業のトップに立ったのは、M&Aキャピタルパートナーズ(2478万円)。実に10年連続のトップだ。『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。 「同社は主に中小企業を取り扱うM&Aの仲介会社。後継者不足に悩む中小企業を他企業とマッチングする事業が収益の柱。近年は経営者の高齢化に伴って、M&Aビジネスの需要が高まっている。さらにM&A仲介会社は同社に限らず、契約をまとめた社員に対するインセンティブを採用しています。そのため優秀な人材が多く集まっている。同社は社員の平均年齢が32.4歳と若いことからも“実力主義”なことがわかります」(以下、「」内は関氏)
平均年収が「前年比100万円以上アップ」の企業も
また業界別に見ると、世界的に需要が高まっている「半導体製造装置」に関するメーカーが数多くランクインしていることがわかる。
「日本の半導体メーカーはエヌビディアなど世界的大企業に対して後れを取っていますが、『半導体製造装置メーカー』は世界シェアで3割程度と強い。レーザーテック(17位、1581万円)やディスコ(21位、1507万円)、東京エレクトロン(50位、1272万円)、アドバンテスト(159位、1005万円)など一般消費者にはあまり馴染みがないかもしれませんが、半導体メーカーが数多くランクインしています。レーザーテックやディスコは前年と比較して平均年収が100万円以上上がっています」 学生の就職人気ランキングで常に上位に入る「総合商社」の強さも見て取れる。関氏はこう語る。 「平均年収ランキングを見て強く感じたのは、かつて『高給取り』の代名詞だったメガバンクと総合商社で明暗が分かれたことです。約20年前、銀行と商社はどちらも給与ランキングの上位でしたが、相変わらず商社は強い一方、メガバンクは存在感が薄れています」 三菱商事が平均年収2090万円で2位にランクイン、ほかにも三井物産(5位、1899万円)、住友商事(8位、1758万円)、伊藤忠商事(9位、1753万円)とトップ10に軒並みランクイン。一方のメガバンクは三井住友フィナンシャルグループ(105位、1095万円)、みずほフィナンシャルグループ(116位、1072万円)、三菱UFJフィナンシャルグループ(129位、1047万円)となった。 また、長年にわたって上場企業の給与動向を追っていた関氏は「テレビ局の変化」にも時代を感じると言う。 「約20年前の同様の調査では民放キー局や高給で知られる大阪の朝日放送などテレビ局が上位を占めていました。それが2023年度のランキングでは最上位のフジ・メディア・ホールディングスでも14位です。1621万円と相変わらず高給なのにも驚きますが、それ以上に上位の企業が様変わりしたことに驚きます」