国を動かした「付き添い入院」経験者3600人の声 任意のはずが入院条件に ルール違反のケア代替も発覚、こども家庭庁が医療機関の実態調査へ
また別の章にはこんな記述もある。「子どもの最善の利益のため、親が安心して付き添える環境の整備が必要だ」。実際、欧州では保護者用のベッドや食事が無償で提供される国も多い。今の日本に求められているのは、保護者が病児の状況や家庭事情に応じて、付き添うかどうかを主体的に判断できる仕組みと、付き添いを選んだ場合に安心して生活できるような環境づくりだ。 ▽保護者と医療関係者は「ワンチーム」 最後に、今回のアンケート結果に対する所感や求められる対応策について「キープ・ママ・スマイリング」の光原ゆき理事長に聞いた。 ―「キープ・ママ・スマイリング」では、平素から付き添い入院中の保護者に対する食料や日用品の無償提供など、さまざまな支援をしていますが、今回のアンケート結果を受けて、改めて感じたことはありますか。 「新しい発見があったというよりは、日頃、支援させていただいているお母さんたちから聞く声がきちんと定量的に見える形になったという印象です」
「私自身も先天性疾患を持つ次女の世話で、いくつもの病院に泊まり込んだ経験があります。次女は2014年に生後11カ月で亡くなり、それから10年近くたちますが、お母さんたちが置かれている環境は当時と変わらず、とても過酷だと思います」 ―アンケートでは、多くの保護者が看護師らの業務の一部を担っている実態が明らかになりました。保護者の負担軽減のためにはどのような解決策が考えられるでしょうか。 「親にも『子どものことはなるべく自分がやってあげたい』という気持ちがあります。小児医療においては子どもや家族の希望に応じて、家族がケアに参加できるよう支援することが奨励されており、親が子どもの世話をすることは否定されるものではありません」 「看護師の人数が圧倒的に足りないことも保護者はよくわかっています。ただ、アンケートの回答でも散見されたように『手術直後で、子どもの体に管がたくさんついているような状況でケアを担うのは怖い』わけです」