国を動かした「付き添い入院」経験者3600人の声 任意のはずが入院条件に ルール違反のケア代替も発覚、こども家庭庁が医療機関の実態調査へ
▽8割が付き添いを「要請された」 キープ・ママ・スマイリングは、こうした過酷な付き添い生活をどれくらいの保護者が経験しているのかを明らかにするため、昨年11~12月にウェブ上でアンケートを実施した。対象者は過去5年間に入院中の子どもの付き添いや面会を経験した保護者とした。最終的に47都道府県の3643人から、計583病院について回答が寄せられた。 公表された結果によると、病院側から付き添いを「要請された」と答えた人は全体の79%に上った。付き添いを希望したかどうかを尋ねる質問には、71%の人が「希望の有無を問わず、付き添いが必須だった」と回答した。 前述したように、本来、保護者の付き添いは任意だ。厚労省によると、公的医療保険で病院に支払われる「入院基本料」には元々、子どもの世話にかかる人件費が含まれている。さらに厚労省の通知では「医師の許可を得た場合は付き添いが認められるが、その場合も看護要員の代替に当たるようなことはしてはならない」という旨が明記されている。
だが今回の調査結果を見れば、病院側から保護者に要請するケースが多いのは明らかだ。しかも、その矛盾を取り繕うため「保護者が希望した」という体裁の「付き添い願い書」を作成する場合もある。アンケートでは回答者の71%がこの書類を提出していた。「病院側から要請されたのに、なぜこちらが『付き添い願い書』を出すのか」と釈然としない思いを抱えた人も多いだろう。 ▽食事はコンビニ、24時間態勢で半数が体調不良に 一般的に、付き添いの保護者には食事が提供されない。食べ物の調達場所に関する回答では「主に院内のコンビニや売店」が65%と最も多く、「病院から提供された食事(有料・無料)」と答えた人はわずか6%だった。子どもから目を離せないため買い出しに行けないことも多く、中には1日の3食全てが子どもの食べ残しだったという人もいた。 寝る場所は「子どもと同じベッド」との回答が最多の52%で、次に多かったのが「病院からレンタルした簡易ベッド」(33%)だった。夜も子どもの世話や看護師の巡回、同室の子どもの泣き声などで大半の人が十分な睡眠を取れていなかった。