【社説】非常時局に最悪の航空惨事…超党派的な収拾に出よ=韓国
大統領と首相の弾劾訴追で過去に類を見ない「代行の代行体制」が稼働している渦中に心痛む大型惨事が発生した。昨日午前9時ごろ、タイ・バンコク発チェジュ航空7C2216便が全羅南道(チョルラナムド)務安(ムアン)空港で胴体着陸後に爆発して搭乗者181人のうちほとんどが帰らぬ人となった。韓国国内で起きた最悪の航空機人命事故だ。何より遺族支援と負傷者の治療、原因究明などを最優先に行わなければならない。あわせて国内の他の空港でも類似の事故が発生しないようにし、運航中の旅客機整備にも問題がないように万全の点検を行わなければならない。 事故原因として挙げられているのが鳥類衝突(バードストライク)だ。事故旅客機は務安空港上空で鳥と衝突して片方のエンジンを失い、着陸装置(ランディングギア)も損傷したとみられる。この状況で胴体着陸を試みたがスピードを十分に落とすことができず空港の外壁に衝突してしまった。胴体着陸を行う場合、あらかじめ滑走路に特殊バブルを撒くが、この措置は取られなかったという。バードストライクは少なからず発生するが、安全に着陸する場合も多い。務安空港が管制と後続措置を正しく行ったかどうかも詳しく調べなくてはならない。事故航空会社であるチェジュ航空も原因究明と収拾に責任ある態度で臨んでもらいたい。 ただし、事故収拾を総括するコントロールタワーである中央災難(災害)安全対策本部が正常に稼働するのか心配が先立つ。災難および安全管理基本法に基づき、海外・放射能災難を除く大規模災難が起きた場合、中央対策本部長を行政安全部長官が務める。ただし汎政府次元の統合対応が必要な場合には首相が権限を行使することができる。事故直後、崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行が首相職務代行として中央対策本部本部長を引き受けた。このような場合、行安部長官が次長として補佐しなければならないが空席なので行安部次官が代行している。 収拾を支援しなければならない警察庁長官も空席だ。崔代行は経済指令塔として不安な金融市場とマクロ経済状況を取りまとめる責任がある。韓国ウォン相場は1ドル=1500ウォン水準を脅かし、株価も劣勢だ。このような状況で航空事故収拾まで務めることになった。崔代行の肩の荷は重いが、国政に空白があってはいけない。安保と治安、行政を担当する人々が安易に対処すれば小さな事件や種火が一歩間違えば大きな災難につながりかねない点を肝に銘じなければならない。 野党が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳を阻止して弾劾訴追で職務を停止するのに大きな役割を果たしたが、さらに多くの過度な弾劾で政府を無気力にさせては困る。政府と政界は国民の不安が加重されないように格別に気を使わなければならない。弾劾手続きと内乱容疑捜査は厳正に行うものの、今回の事故収拾には心を一つにしてあたらなくてはならない。犠牲者の冥福を祈りつつ、遺族にも深い哀悼を伝えたい。