【とっておきメモ】ヤクルト奥川恭伸に新たな特技 神経痛、神経の炎症などわずかな異変判別
奥川が帰ってきた。ヤクルト奥川恭伸投手(23)が、21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりとなる神宮での勝利を挙げた。右肘痛で緊急降板した22年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりの本拠地のマウンド。阪神打線を5回2安打1失点に封じた。チームの連敗を4で止め、自身も復活勝利を挙げた14日オリックス戦(京セラドーム大阪)に続き、2連勝をマークした。 【写真】号泣する奥川恭伸の頭を笑顔でなでるナイン ◇ ◇ ◇ けがの功名とは言えないにしても、奥川には新たな特技が身に付いた。右肘痛を発症した際、全国の病院を回った。その日々の中で、見えなかったものが見えるようになった。「エコー写真を見ていると、見方が分かるようになったんです」。靱帯(じんたい)付近の痛みの原因ともなった隙間、緩み、グラつきなど、白黒の写真の中に写し出されるわずかな異変まで判別出来るまでになった。 長いリハビリ期間が、そうさせた。それだけではなく、MRI検査で導き出された神経痛、神経の炎症、腫れまでも、分かるようになった。故障しなければ、出合わなかった知見かもしれない。「今は本当に不安なく、出来ているからうれしい。病院の人、リハビリを手伝ってくれた人に感謝です」。エコー写真を見て、がくぜんとした日々とはおさらば。勝利という鮮明で、カラフルな映像を目に焼き付けていく。【ヤクルト担当=栗田尚樹】