認知症予防!上から読んでも下から読んでも同じ「回文音読」脳に効くXで大バズリの作品
「回文」とは、「竹やぶ焼けた(たけやぶやけた)」や「新聞紙(しんぶんし)」のように、順方向に読んで意味を持ちながら、逆方向から読んでも同じ音になる単語や文章のこと。 【写真】回文作家の神ワザ「アルファベット回文」
言葉遊びを超えて心を動かす作品に昇華
子どものころに言葉遊びとして口にしていた人も多いはずだが、昨今ではもはや遊びを超えた「文学」として認知されるまでに進化しつつある。人気の回文作家が登場し、SNSでは遊び心や世界観を感じる回文作品が発信されているのだ。 例えば「良い骨格とふくよかな腹シワなき手ステキなわしらは仲良く太くかっこいい」の一文。なんだか、物語の登場人物のような、貫禄ある風貌の仲間たちの様子が思い浮かぶが、これも実は回文。逆から読んでも同じ音だ。 「この回文をXで発表後、たくさんの“いいね”やコメントをもらいました。それをきっかけに、新聞やテレビで取り上げてもらったり、作曲家の方に曲をつけていただいたりもしました」 というのは、作者で回文作家のコジヤジコさん。福祉施設から、施設の資料に載せたいという申し出もあったという。実際、高齢者施設で回文を脳トレに活用しているという話も聞くが、その効果について脳科学者の加藤俊徳先生に話を聞いてみると、 「回文を味わうことは、記憶系の脳番地を刺激し、会話に対する集中力がアップしたり、一度聞いたことを忘れにくくなったりします」
回文を読み解くことで脳がぐんと活性化!
回文で脳を刺激するには、逆から読むことが効果的だと先生は言うが、特に声に出すことが脳を活性する。 「回文を逆から読もうとする時、順方向から読んだ時の文言を、無意識に一時的に記憶しながら読む人が多いと思います。なぜなら、順方向と逆方向で、音は同じでも区切る位置が違うため、素読みでは読みにくいからです。 ここが回文の逆読みの難しい点といえますが、だからこそ脳を鍛えることができるのです。また、一度順方向に読んだものを、逆方向に“反復する”ことも脳の刺激になります」(加藤先生、以下同) 回文を逆から読んで、音が同じだと確認できた時、脳は“発見の喜び”を感じる。 「これが“理解のマッチング”です。例えば、“ポテトサラダ”を逆から読んだら“ダラサトテポ”。これだけでも脳の運動にはなるのですが、回文であれば、逆読みで意味が通じた時、正しく読めているという自己採点ができ、パズルを解いたような快感を得ることができます」 問題を解いている時、つまり回文を逆から読もうとしている時は、脳が働いて酸素を消費しているため、低酸素状態になる。そして回文を読めた(解けた)瞬間に上昇していた脳圧が下がり、低酸素が解消。この瞬間に脳が快感を感じる。長い回文ほどこの感覚が大きく、脳の活性になるといえる。 「そういう意味では、回文を作ることが一番脳を使う作業といえます。その次が音読です。かくいう私も聴覚記憶が苦手なので回文音読は得意ではありません(笑)。苦手な人は短いものからチャレンジをするといいですね」